不登校解決現場レポート子供の心理学

不登校専門カウンセラーが伝える子どもが学校に行きたくないと言った時の対応方法とは?

こんにちは。不登校支援センター仙台支部の上原公洋(うえはらきみひろ)です。

今回は、不登校支援センターのブログの中で、特に皆様に読まれているもの・・・つまり皆さんが気になっていることについて少し掘り下げて考えていこうと思います。

テーマは『子どもが学校に行きたくないと言ったらどう対応するのが正解?』です。

様々なケースやシチュエーションがあるかと思いますが、一緒に考えて行きましょう!

【目次】

・最初にするべきことはなに?~パターン別の対応とリスク~

  1. 学校に行きなさいと説得をするパターン
  2. なんで行きたくないの?と理由を聞くパターン
  3. 行きたくないなら仕方ないねと休ませるパターン

・子どもが「学校に行きたくない」と言ったときに知っておきたいこと

  1. 学校に行きたくない様々な理由
  2. 子どもが「学校に行きたくない」に至る経緯を理解すること
  3. 子どもの心理状態を考える
  4. 対応を間違えた場合のリスク

・「学校に行きたくない」と言ったらこのように対応するのが正解!

最初にするべきことはなに?

「学校に行きたくない・・・」

親御さんとしては聞きたくない言葉ですよね。

ですが聞いてしまったらなかったことには出来ません。何かしらの対応をしたいところですが、まず最初にするべきなのはどんなことだと思いますか?

1.「いいから行きなさい」など学校に行くよう、説得をする
2.「なんで行きたくないの?」と登校がいやな理由を聞く
3.「行きたくないなら仕方ないね」と無理をさせずに休ませる

この中では「1.いいから行きなさい」と対応される方が多いように思います。

親御さんからすると、学校をそう簡単に休んでほしくない、という思いもあるのではないでしょうか。次に多いのが「なんで行きたくないの?」と理由を聞くパターンですね。

ひとつずつ考えてみましょう。

1.学校に行きなさいと説得をするパターン

心理学では、人間の行動には何かしらの目的があるといわれています。

人は、何か原因があり行動をするのではなく、叶えたい目的を叶えるために行動をする、という見方になります。

つまり、人の行動、気持ちを理解するときには、「何が原因でその行動をとっているのだろう?」ではなく、「何が目的でその行動をとっているのだろう?」という視点がとても大切になるのですね。

ですので、「行きたくない」という主張にも当然目的はあり、「学校に行かないことで叶えたいなにか」を子ども自身は無意識に抱いているということです。

それを考慮せずに「行きなさい」と説得しても、なかなか学校に行けるようにはならず、反対に、親子の関係にも悪影響が生じる場合があるので注意が必要です。

例えば・・・

「学校に行きたくない」と言う目的が、「お母さんから気にかけてもらうこと」だとしたらどうでしょうか?

「学校に行きたくないと言ったら、お母さんに気にかけてもらうことができた」、そのような体験を通じて子どもの心はある程度満足するでしょう。しかし、一方で「お母さんから気にかけてもらうための方法」として、「学校に行きたくないと話すこと」が無意識に身についてしまう可能性もあるのですね。

そうなれば、子ども自身はお母さんから気にかけてもらいたいときに、この「学校を休む」という行為を繰り返すことになってしまうかもしれません。(気にかけてもらう、という行動が、たとえ「学校に行きなさい」という叱られる行動であったとしても、気にかけてもらえないよりは良いと受け取る可能性があります。子どもからすると、ベストではありませんがベターではあるということですね。)

他にも色々な目的が考えられますが、どの場合においても目的を知ろうとせずに対応してしまうとこじれてしまう危険性があります。

2.なんで行きたくないの?と理由を聞くパターン

これは上記の1と違い、子ども自身に行けない理由を聞いていますね。

「なら、これが一番いい対応なのかな?」なんて思う方もいるかもしれませんが、実はここにも落とし穴があります。

理由を聞いた際に、例えば子どもが「勉強が難しいし、進むのが早くて、しんどいんだ。」と言ってきたとします。

それを聞いた時、親御さんはどのように考えるでしょうか?

「じゃあ、どうしたらその問題を解決できるだろうか?」と考えることも多いかもしれません。しかし、そういった会話を積み重ねると、子どもが学校に関する話を段々としなくなることがあるんですね。

何故?と思った方もいるかもしれません。その理由について、皆さんと少し考えてみたいのですが、皆さんは「不満や悩みを話す人は全員、解決策を教えてほしい人たち」だと思いますか?

・・・どうでしょうか?

日常生活のことで考えてみると、必ずしもみんなが解決策やアドバイスがほしくて、不満や悩みを話しているわけではないですよね。

子どもが学校の不満や悩みを話してくれたとき、親御さんがそれを何とかして解決してあげたい、助けてあげたい、と思うのはとても自然なことだと思いますし、解決策を考えようとするのも当然だと思います。

しかし、子どもも同じ気持ちかどうかは分かりません。

もしかしたら、まだ解決策を考えようというところまで気持ちが向いておらず、まずは「自分のしんどさを分かってほしい」という気持ちが強いときもあるかもしれません。そんな時は、アドバイスをするよりも子どもの気持ちを理解することの方が、前に進むためにも大切になってきます。

3.行きたくないなら仕方ないねと休ませるパターン

では本人の希望通りに休ませてしまうのはどうでしょうか?

恐らくこの対応をすると子どもの状態は良くも悪くも安定しやすくなります

例えば暴言を吐いたり暴れたりするような子は、休むことで心に余裕が生まれ、落ち着いた、穏やかな様子につながることもあります。しかし、そのまま休ませ続けていて、また学校に行くようになるか、というと子どもによって事情は違ってきます。

よく聞くアドバイスで「子ども自身のやる気が出るまで見守りましょう」というのがありますよね。

この言葉自体が間違っているとは思いませんが、解釈を間違うと、ただ不登校が長期化してしまう恐れがあります。

「何が」「どうなる」のを「いつまで」「どう見守る」のか

これはご家庭によって千差万別です。単純に休ませればいいのかどうか、という判断は慎重に行う必要があります。

それぞれ考えてみましたが、共通していることは「最初の対応を間違えると悪化、長期化しやすい」ということです。

反対に言うと「適切な対応をすれば初期の段階で解決が早まる、不登校の状態が悪化することを防ぐ」可能性がある、ということですね。

では、最初の対応を行うにあたって知っておきたいことにはどのようなものがあるのか、それについて考えていきましょう。

子どもが「学校に行きたくない」と言ったときに知っておきたいこと

これまでは、最初に対応するべきことについて考えてみました。ここではそのために知っておきたいことを書いていきますね。

まず最初に知っておきたいのは「子どもたちの目的」です。

1.学校に行きたくない様々な理由

子どもたちが行きたくないとしてあげてくる理由は実に様々です。

その中でも多く聞かれるのは、

  • 頭痛、腹痛、などの身体の不調
  • 友達と仲良くなれない、喧嘩したなどの友人関係
  • 授業についていけない、宿題が終わらない、などの勉強
  • 先生に叱られた、理不尽と感じる校則がある、などの学校関係
  • つまらない、学校に行く意味がわからない、などの仕組み関係
  • 他にやりたいことがある、などの目的関係
  • 特にない、わからない、などの不明瞭なもの関係 等

この辺りになってくると思います。

それらの理由の真偽は別として本人が言っていることなので「なんとかしてあげたい」と思うのは親心かと思います。しかし、先ほどもお伝えしましたがそれが有効かどうかはまた別の話なのです。

親御さんとして、何をしてあげられるかに関しては次の項目について知ってもらいたいと思います。

2.子どもが「学校に行きたくない」に至る経緯を理解すること

子どもへの対応を考える際、心理状態や経緯を理解することはとても大事な部分です。

例えば、ある子どもが「学校に行きたくない」と話したとき、どんな心理状態や経緯が考えられるでしょうか?

友だち関係が背景にあった場合は、こんな経緯があるかもしれません。

例えば、

  • 「仲のいい友達とケンカをして、仲直りをしたいのだけど気まずい」
  • 「仲直りをするために学校を行ったほうがいいとわかっているけど、勇気が出ない」

そんなときは背中を押してあげることもできるかもしれません。

しかし、「そのケンカはもう半年ぐらい前のことで、相手の子は口をきこうと全然してくれない」といった経緯も知ると、また受け止め方は変わるかもしれません。

さらに、

  • 「相手の子はクラスでほかにも友達がいるので、その子たちと楽しく話している」
  • 「自分はその子以外に友達がいなくて、ケンカしてから休み時間もずっと1人で机に座っている」

という話になりますと、受け止め方にもまた違いが出るのではないでしょうか。

「そんなことで悩むなんて」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、全く同じ出来事であったとしても、その受け止め方、重みは人それぞれですよね。人にはなかなか理解してもらえないけれど、自分にとってはとても重要なことというのも皆さんあるのではないでしょうか。

このように表面的に言葉として出てきているものだけで理解をするのと、経緯を知って理解するのでは大きく違ってきます。

3.子どもの心理状態を考える

理由や経緯について考えてきましたが、次はある意味一番重要となってくる子どもの心理状態についてです。様々なケース全てに言えることですが「それを言っている子どもの気持ちはどんな状態なんだろう?」という部分です。

ちょっと考えてみてもらえればと思います。

例えば「朝起きられないから学校に行けない」という子がいたとします。そこにはどんな心理があるでしょうか。

【朝起きられないのは心からくる問題の場合もある?】

朝起きられない子には、

  1. 起立性調節障害や低血圧など身体的な問題を元としている場合
  2. 心因性の要因

の2つが考えられます。夜更かしをしてしまう、寝付けない、早い時間に目が覚めてしまう、などにも当てはまることかもしれません。

どういうことかといいますと「学校に行きたくない」と思っている子どもにとって、朝起きる時間は苦痛となります。なぜならば、朝起きたら「学校に行かなきゃ、起きて準備しなきゃ、嫌だけどどうしよう」と悩まなくてはいけなくなるからです。

人間の心には防衛機能というものがあります。それは辛い、苦しいと感じることから自分を守ろうとする自動的な機能です。朝起きて苦痛と感じることがある時に、その防衛機能が働くことがあるんです。つまり自分を守ろうとする防衛機能が働いて「起きなければ悩まなくても済む」という思考に至るのですね。もちろん起きて動かなければ根本的な解決にはなりません。ただの問題の先送りです。

それに、朝起きなかったとしても実際には昼からでも夕方からでも行こうと思えば学校に行くことは可能です。しかし本人が「朝起きた時に考えること」として学校に行くことを認識している場合には、同じことを考えるにしても昼や夜とでは捉え方が変わる可能性があるのです。

心は自分を守ろうと、その辛いと感じる朝の時間から逃れるために「起きられない」という状況を作ろうとしてしまうときがあります。

  • 単純に目が覚めない
  • 夜布団に入っても眠れなくなってしまう
  • 夜になるとテンションが上がってしまって明け方まで起きてしまう・・・等

これらも「朝起きない」為に出てしまっている症状ともいえるかもしれません。この症状はそもそも「学校に行きたくない」という思いから来ているものですので、たとえすんなりと起きられた日があったとしても結局学校には行けません。

昼夜逆転の生活をしてしまっていると「学校に行くためにまず生活リズムだけでも治そう!」と頑張られる方もいらっしゃると思います。実際に昼夜逆転の生活は朝起きて学校に行くのが大変になりますし、体調にもよくないですから行きにくくしている要因の一つにはなっている可能性があります。

しかし、「昼夜逆転のせいで」行けなくなっているという状態は少ないと思います。

極端な話ですが、一睡もしていなくても、行こうと思えば仕事でも学校でも行くことはできますよね?この場合、大切なのは「朝起きること」ではなく「行く意思を本人が持つこと」になってきます。

行こうと本人が思って努力していても、「眠れない」「起きられない」という場合はまた違う対応が必要となってきますが、口頭で「行こうとは思っているけど起きられない」と言っている子の大半は、まだその意志の力が足りていない状態なのかな、と思います。そうすると残念なことに、朝起きられない子に対して起こそうとする努力は無駄に終わってしまうことがあるんです。同じ労力をかけるなら根本的な解決に繋がるほうにより多くの力を割きたいですね。

このようにひとつの例から考えてみても心理状態を知ることでどのように対応するべきかを考えることが出来るんですね。このケースの場合でも本人がどこを気にしているのかどんな心理状態なのかで取るべき方法も変わってきます。そこを探ることが重要なのはその為もあるんですね。

4.対応を間違えた場合のリスク

最初の対応を間違えてしまった場合、どんなことを起こるでしょうか。次はそこを考えてみたいと思います。

学校を休みたいと言ってきた子に誤った対応をする・・・もちろんそんなことを望んでいるわけでもやろうと思っているわけでもありませんが、現実ではついやってしまうこともあります。

先ほどのお話の中でもありましたが、「子どもに理由を聞いて、その解決のために一生懸命になったら会話が出来なくなってしまった」なんていうのも最初の対応を誤った際に起こるリスクといえるでしょう。

子どもと会話がうまくいかなくなってしまったらそこに対するアプローチも必要になってきます。不登校の問題解決のために必要なことが増えてしまうのですね。
他にも「最初は学校に対する不満だったはずなのに、段々過去のことを持ち出してきてあれが嫌だったこれが嫌だったとどうしようもないことを言い出してしまったんです」なんてことも聞かれます。

  • 説得をしようと試みていたところ、本人の態度が硬化して部屋に鍵をかけて引きこもってしまった。
  • 本人の言うように好きなだけ休ませていたらまったく動く気配がなくなってしまった。

これらのことは最初の対応ミスをなくすことで減らせる可能性のあるリスクです。

怖いのは私達がついとりがちな行動で発生してしまうところですね。良かれと思ってやったことが裏目に出てしまった、なんてことにはなるべくしたくないですよね。

「学校に行きたくない」と言ったらこのように対応するのが正解!

前項で行きたくない理由、そこに至る経緯、子ども心理状態、リスクについて考えてみました。それらを踏まえた上で最初にするべき対応はなにか、ということを書きたいと思います。

ずばり一番最初にするべきは「子どもの状態把握」です。

様々なケースがあると思いますが、まず最初に実践するべきなのはここです。

なぜかと言いますと、どんな対応をするにしてもその子の状態がわかっていなければ悪化、長期化に繋がってしまうからなんです。

上の例でもありましたが「学校に行きたくない」と言われたという表面だけ見ても、本当のところは分からないです。

本人が求めているものはなんなのか、それを求めるに至る経緯、心理状態はどうなのか。

そこを考慮せずに「こうすればいいだろう」という思い込みで対応してしまうと間違えてしまう可能性があるんです。なので私たちカウンセラーもまずはその子の背景を知っていきます。同時に親御さんたちの背景も知っていこうとします。もちろん、全部聴き出さなければならないということはありません。

  • 目の前の人が他人に話せないでいる背景もあるのではないか?
  • 今は忘れているけれども、潜在的に引っかかっている背景もあるのではないか? 等

様々な可能性を常に意識しています。

同時に子どもの心理状態の把握もしていきましょう。子どもの気持ちを理解することの方が、前に進むためにも大切になってきます。

悩まれている親御さんは、是非一度不登校支援センターにいらしてください。

子どもが不登校になった背景の知り方、受取方、寄り添い方、接し方など、いろいろなことをお伝えすることができるかと思います。親御さんの何とかしてあげたいという思いを活かすためにも、子どもがどんな気持ちで話をしてくれたのか、その気持ちに合わせた対応を心がけたいですね。

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