不登校専門カウンセラーが伝える「学校に行きたい」と言うのに「行かない」子どもの心理とは?
皆さん、こんにちは。不登校支援センター福岡支部の永島です。
暑い日も過ぎ去ろうとし、これから寒い季節が到来してきますね。受験生はいよいよ苦しくなってくるころでしょうか。
寒くなってくると私は熱燗が大好きなので、『もつ鍋』を食べに行き、鍋と熱燗を楽しみたくなります。前々から、行ってみたいと思う店があるのですが、なぜか毎年行かないでいます。
そんなある日、友人と雑談しているときに「○○という店に行きたいと思ってるんだよね~」と言ったところ、「行けばいいじゃない。」と返ってきました。別にその友人が悪いことを言ったわけではありませんが、私はちょっぴり寂しく感じました。
とは言え、私も元々はこの友人と同じような返事をする思考の人だったので、なんとなくその気持ちもわかります。私も「本当にどうしても行きたい!何を優先させてでも行きたい!」と思っていれば、他のことに使うお金を節約し、休みを取り、予約をし、一人ででも行くでしょう。
ただ、そこまでの情熱を傾けているわけではないので、『悩み』ではなく、『願望』止まりの話題ではあります。
「学校に行きたい」のに「行かない」子どもの心理
「学校には行きたい」と言いつつも行動が伴っていないという事例は数多くあります。しかし、その深層要因の部分は、人それぞれです。
前述の私の例で考えると、①『願望』止まりの思いしかない場合があります。
また、よくあるケースとしては②「学校に行く」という行動をとることによって状況が進展することを拒む目的であるなども考えられます。状況の進展とは、もう一度学校に行こうとして、それでも学校に行けない現実を目の当たりにしてしまい、学校を辞めるという選択を迫られてしまうこと。そして高校生であれば、学校に行かないのであれば働かされることなどがあります。
やはり、学校へ行かない子の心理はその状況により変わってきます。
そこで今回は、①でも②でもない・・・
③子ども自身が本当に学校へ行きたいと思っているのに、動けないでいるという事例についてお話ししたいと思います。
「学校に行きたい」と思っているのに行動できない状況とは?
「したい」と思っていることが「できない」という状況には、必ず何らかの縛りが発生しています。
- 留学したいという思いがあるが、お金という縛りで実行できない。
- 旅行に行きたいという思いがあるが、時間という縛りで実行できない。
- ○○大学に行きたいが、学力という縛りで実行できない。
- 本当は昼寝をしたいが、周囲の目という縛りで実行できない。
わかりやすい例でいうと、上記のような事柄になります。
ちょっと想像してみてください
あなたはケーキが大好きな人だとします。
今目の前のテーブルに、とても美味しそうなケーキが置いてあります。
部屋には誰もいません。
あなたはそのケーキを「食べたい」と思いました。
おそらく2歳児くらいの子どもであれば、ほとんどの子は実際に食べることができると思います。むしろ食べないでいられる子どもはどれだけいるでしょうか。
しかし、ある程度成長している人であれば、この状況の中、ケーキを食べることができる人と、できない人がいます。
【食べることができない人とは?】
おそらく「誰が用意したかわからないものには手を出せない」などの警戒心があったのではないでしょうか。つまり、「食べた先に起こり得る想像できない不安」に縛られて実行できない、という状態ですね。
そして、その「想像できない不安」はそれまでのその人の経験によって異なってきます。
例えば・・・
- 同じようなシーンのドッキリの番組を観た記憶がある
- 昔、他人に進められた美味しそうなケーキを食べて食中毒になったことがある
- 無料で食べられると思ったら、あとで多額のお金を要求されたことがある
- 何か得をしたと思ったら、あとで見返りを求められたことがある
- なぜか『注文の多い料理店』を思い出してしまい、『太らせるためか!?』などと考えてしまった
- その部屋の内装のイメージが、とても薄気味悪い内装で不気味に思ってしまった
- 今現在虫歯が超痛い
などなど、様々な経験や記憶を考えてしまい、それらに不安を掻き立てられ、実行できない状況です。
上記に挙げた例について「何それ?」と思われた方もいらっしゃると思います。しかし、感受性の豊かな子であれば、そういった自分では想像できないような想像をしてしまえる子もいます。
「学校に行きたい」と思うのに、行けない場合の対処法
対処法としてはまず、何に縛られているのかを認知(自分が理解)することが必要です。
認知した後に、その後自分が何をしなければならないかが決まってきます。
- 何に縛られているのか認知することが難しいと思っている
- 認知することまではできたけれど、その解決方法がわからない
- 認知し、解決方法までわかっているけれど、上手くいかない
このような方は、一度不登校支援センター相談にいらしていただけたらと思います。認知し、解決方法までわかっているのに上手くいかない(子どもが実行しようとしない)という場合は、認知がずれている危険性もあります。客観的な第3者の視点があることで、より効果的に解決に進んでいけると思います。
子どもが本当に「学校に行きたい」と思っているのに、親御様の方で「本当は行きたくないんだろう」と決めつけてしまうようなことは避けられたらと思います。
この認知のずれは、親子関係を悪くしてしまう可能性がとても高いので注意が必要です。
学校に「行きたい」のに「行けない」と縛れている方へ
これは不登校に限った話ではないと思います。このような状況であれば、何に縛られているのかを認知し、解決方法を考え、ゆっくり実行していくことで、前進していくことができます。
縛りは一つや二つではないことがほとんどです。一つ一つをまずは一緒に解決していきましょう!
そして、自分で解決していく力を身につけることができれば、今後も、自分の思うように生きることができ、幸せになっていけるのではと、私は思っております。
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