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不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは②

 こんにちは。不登校支援センター横浜支部カウンセラーの本沢裕太です。

さて前回のブログでは、 「持って生まれた気質は、成長過程で何を経験し・何を学習するかで表れ方が変わってくる」  という所までお話ししましたね。

今回は、その続きをお伝えしていきたいと思います。

では、経験や学習が少ないとどうなるのでしょうか。

ストレスを受けると・・・
  • 動揺しやすい
  • すぐに泣いてしまう
  • 臆病になる
  • 不機嫌になりやすい
  • 泣きごとが多い
  • 思い通りにならないと過剰に反応して腹を立てる
  • がまんができない
  • 批判に対して過度に傷つきやすい
  • 他人に不信感を抱きやすい

などの傾向が出やすくなります。センターに通い始めた子どもたちの中でも、いずれかの傾向を感じる事が多いです。

まず、親御さんにご理解頂きたいのは、子どもがこの様な状態で学校(社会的な場)への復学を目指す事が大変リスキーだという事です。

上記の状態は、

  • 負の感情に思考が支配されていて、冷静に考えられない
  • 些細な事にストレスを感じやすく敏感に反応しやすい
  • そういった自分を否定的に捉え、自己肯定感が下がりやすい

状態だと言えるからですね。

その状態でストレスを受け続けると、登校はおろか外出の頻度も下がり、部屋に引きこもりがちになったり、ご家族との接触も減少する事が予想されます。

いわゆる、「再発」「悪化」と言われる状態です。

そして社会から距離を置く時間が長くなれば、それだけリハビリの時間も必要となります。

そうならない為にも望ましいのは、本人が自分の意志で復帰を考えられる状態になる事です。

その為には、現実に裏付けられた根拠が必要となりますが、その一つが「情動の扱い方が上手くなる事」だと私は考えております。

アメリカ発祥の考え方では、そういった「心の知能指数」を「EQ」と呼び、頭の知能指数であるIQ以上に重要視されています。

EQを向上させる方法として、

  • 自分自身の情動を知る
  • 感情を制御する
  • 自分を動機付ける
  • 他人の感情を認識する
  • 人間関係を上手に処理する

といった事が挙げられています。

これらの根本的な部分は、脳の神経細胞なのですが、脳は驚異的な順応力で常に学習しています。

今まで、「情動を上手く扱えていない」としても、適切ではない習慣や反応を学習してしまっているというだけの事です。(ただ、そういった行動に対してやきもきしてしまうんですけどね・・・。)

 

ここで、高校生の女の子Bさんの事例をお伝えしたいと思います。

Bさんは、中学2年から不登校になり、3年生もほとんど登校していませんでした。

親御さんはとても心配されていて、ちょっとでも登校出来ればと学校まで車で送迎してみたり、Bさんの好きな事を率先してやらせてあげたりとされていらっしゃいました。

親御さんがそこまでしても、登校することができない中学時代は、親御さんもとても辛そうで涙ながらにその心境をお話し頂きました。それでもその親御さんは、Bさんを励ましたり、話しを聞いたり、勇気づけたりと、必死にBさんと関わる努力をされておりました。

高校見学の際も、目の前まで行って「やっぱり行きたくない」と言い出すBさんに寄り添い、気持ちを落ち着かせて何とか参加できたという事もございました。

まさに、「共感的な関わり方」だと思っております。

高校生になったBさんは、ほとんど欠席する事はなくなったのですが、長期休暇明けなどは少し元気がなく、何日間かお休みが続きました。

そんな時、Bさんからこんな事を話してくれたそうです。

「休み明け、他にも休んでいる子が多くて、教室に行っても楽しくないんだよね。仲が良い子も休んでいるし・・・」

そこで親御さんは、

「そうか、楽しくないのね。でももしかしたら、Bが来ないから寂しがっている子もいるんじゃない?」

とお伝えしたところ、Bさんが反応したそうです。

「そうか!じゃあ、まずは私が行って寂しくないよって友達に伝えてみようかな。」

その次の日からBさんは登校を再開したそうです。

中学生の頃のBさんは、「周りの人は自分の事をどう思っているのだろう」という事が気になってしまっていましたが、今は「自分の行動が周囲の人の感情に良い影響を与える」と思えているのですね。

親御さんの「共感的な関わり方」により、Bさんの自己肯定感が向上し、共感性も増したと考えられます。

 共感的な関わり方がもたらした子どもの変化

カウンセリングに来られる前は、

  • ちょっとでも行ってみたら?
  • 部活だけでも行ったら?
  • お休みする代わりに○○してみたら?
  • 友達は何とも思ってないよ
  • 少しくらい勉強が遅れてたって大丈夫だよ

といった声掛けが多かった様ですが、Bさんの気持ちに寄り添おうとされた事で

  • 思う様にできなくて悔しかったね、残念だったね
  • 初めての場所は緊張するよね、気持ち落ち着くまで待ってるからね
  • 自分で頑張れたと思えたんだね、お母さんも嬉しい!
  • そんな嬉しい事があったのね、良かったじゃない♪

という関わり方や声掛けに変化されていきました。

Bさんの様に、感情や感情からくる反応を適切に学習し直せれば、矯正し向上させる事が可能なのです。

その過程で、子ども自身にとって根拠のある自信となり、自らの意志で復帰を考えられる状態に近づくという事です。

では、続きはまた次回をお楽しみに。

不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは①

不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは③

不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは④

不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑤

不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑥

不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑦

不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑧

不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑨

不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑩

不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑪

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不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑬~まとめ~

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(*1) 「情動」とは・・・一時的で急激な変化を起こす感情の一種で、 怒り・恐怖・喜び・悲しみ・不安といった意識状態と同時に、顔色が変わる、呼吸や脈はくが変化する、手足が冷たくなる、冷や汗が出る、などの生理的な変化が伴うものを指します。