不登校解決現場レポート高校生の不登校

絶対に卒業できるはずがなかった通信制高校3年のAくんが卒業できた理由とは?

こんにちは。不登校支援センター大阪支部の桒原航大(くわばらこうだい)です。

いよいよ2学期が始まる時期となりましたね。

子どもの状況も様々かと思います。現在の子どもの様子はいかがでしょうか。

今回は数年前に来られた、ある高校生Aくんの事例についてお話しようと思います。

不登校になった通信制高校に通う高校3年のAくん

Aくんのご家族が不登校支援センターへ相談に来られたのは、Aくんが高校3年生の8月でした。

状況をお伺いすると、高校3年のAくんは前の高校で友達とのトラブルから、学校を休むようになってしまったとのことでした。親御さんは、早く手を打たなければと思い、すぐに通信制高校への転入を考えたそうです。

しかし、高校3年のAくんと一緒に通信制高校のことを考えようと思っても、Aくんはまるで他人事のような態度で話し合おうとせず、結果的に親御さんのみで通信制高校への転入手続きを進めたそうです。

そうした経緯もあり、転入したあとも、高校3年のAくんはなかなか学校には行かない状況であるということです。親御さんとしては「環境を変えたのにどうしてまた行けないのだろう?」と困ってしまい、センターに相談に来られました。

たまっていた100枚以上のレポート課題

詳しい説明はここでは割愛しますが、通信制高校では卒業のためにレポートを提出しなければいけません。

しかし、Aくんは、提出しなければならないレポートには全く取り組んでおらず、たまったレポートの数はなんと100枚以上になっていました。

そんな状況のAくんと初めて会ったとき、ゲームなどの自分の好きな話題はすんなりと話せるのですが、学校のことはまるで他人事のように話していました。

「自分でこの高校に行くとは行っていないし」

「親に勝手に決められただけだし」

と話していて、納得いっていない態度を見せていました。

けれども、カウンセリングには毎回嫌がることなく来ていて、自分の置かれている状況に対する焦りもどこか感じているようでした。

  • 動かないといけないとは思いながらも、両親に勝手に高校を決められたという不満
  • たくさんためてしまったレポートの量を見て、なかなか踏み出せずにいる

といった葛藤がAくんにはあるようでした。

まずは高校3年のAくんが「感じていること」「思っていること」を知る

そうした状況もあり、カウンセリングでは

「これからどうするか」ではなく、まずは高校3年のAくんの「感じていること」、「思っていること」の理解

から始めていきました。

  • 高校に入ってからの様子。感じていた不安、不満や後悔。
  • そして、本当はどうしたかったのか、という思い。

こうした思いを聴いていくうちに、徐々にAくんも、「これからどうするか」ということについても考えるようになっていきました。

そして、あるとき高校3年のAくんがカウンセリングのときに「ここにレポートを持ってきてもいい?」と話してきました。

「もちろん、いいよ」と答え、それから毎回のカウンセリングの際に、レポートの問題を数問だけ一緒に解いていきました。それがきっかけになったのか、その後は徐々にAくん1人でレポートに取り組むようになりました。

きっと、「レポートを持ってきてもいい?」と私に聞いてきた時点で、Aくん自身が動き出す準備は出来ていたのだと思いますが、実際にレポートを一緒に取り組んだことで、レポートを1人でも取り組んでいくという決心がついたのかもしれません。

自転車の補助輪としての関わりかた

学校に行くかどうかはあくまでその子自身のテーマであり、カウンセラーが代わりに何とかしてあげることはできません。

今回の場合、レポートをやるということは、Aくん自身のテーマですね。

しかし、自転車に乗れるようになるまでには、補助輪をつける子もいるように、1人で前に進むための助走期間として、カウンセラーが補助輪の役割を担うことも出来ると感じています。

こちらがいくら補助輪になっても、本人が自転車に乗ろうとしなければ、前には進みません。しかし、本人が自転車に乗りたいと思ったときに、補助輪があると安心して乗ることができ、前に進めますよね。

Aくんが、1人で徐々にレポートに取り組んでいくようになる姿は、まさにそれを実感できるものでした。

それでは本日も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

少しでも今回のブログが皆さんのお役に立てれば幸いです。

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