不登校解決現場レポート高校生の不登校

【事例】離れて暮らすわが子が不登校に~ご家族と一緒に取り組んだこと~

こんにちは。不登校支援センター大阪支部の桒原航大(くわばらこうだい)です。

夏休み真っ只中ですね。1学期は皆さんにとってどのような時間となったでしょうか。

さて、本日は以前にご相談のあった少し特殊なケースについて、お話をしたいと思います。

実家を離れて高校生活を送る子ども

その子どもは陸上のスポーツ推薦で他県の高校に入学することが決まり、自宅を離れて寮で暮らしながら高校に通っていました。初めのうちは、部活の練習はハードながらも、順調に学校に通っていたそうです。しかしあるとき、部活内の人間関係のトラブルから、次第に部活内で孤立してしまったとのことでした。

その子どもは「学校には行って、部活だけ休むということができない・・・」と感じ、学校と部活の両方を休む日が増えてきました。

親御さんも、学校の先生から子どもの様子を聞き、とても心配になり、寮まで会いに行ったそうです。しかし、本人はふさぎ込んでおり深く話すことも出来ない状況でした。また親御さんもお仕事があるので、ずっと子どもの傍にいることもできず、「子どものことが心配で何とかしたいけれど、どうサポートしていったらいいのか分からない・・・」と困り果てていた状況でした。

カウンセラーとして、どう支援ができるのか

子ども本人は遠方にいる状況でしたので、当然、本人が対面カウンセリングに来談することは難しい状況でした。

そこで親御さんとのカウンセリングを重ね、

  • 子どもとのかかわり方
  • 子どもへのサポートの仕方

について相談した結果、子ども本人とのカウンセリングは電話でスタートすることにしました。

会ったこともない大人に対して電話で話すという状況でしたので、カウンセリングが上手くいかないリスクも考えられましたが、その子は緊張しつつも、ゆっくりと、少しずつ、今の気持ちを話してくれました。

  • 部活内での人間関係のトラブルで孤立してしまっていること
  • 思い描いていた高校生活ではないこと
  • 高校に入学する際は地元の友達から送り出してもらったので、いまさら地元に帰れないということ

彼の中でも孤独でつらい気持ちと、3年間意地でもやりとげなくてはならないという気持ちが闘っているのが伝わってきました。

子どもに再び芽生えた前向きな気持ち

そして、カウンセリングを重ねていくうちに、子どもには「再びチャレンジをしていこうという気持ち」が少しずつ芽生えてきました。

もともとコツコツとがんばれるタイプの子でしたので、一緒に目標を立てながら、できることから取り組んでいきました。また、その子なりのアイディアで、やる気を高めるために色んなスポーツ選手の名言をノートに書くこともしていました。落ち込んだときはその言葉を読み返し、自分を鼓舞していたようですね。

また、親御さんとも定期的にカウンセリングを行い、

  • 子どもの様子の共有
  • その時々の親御さんからの子どもとのかかわり方 等

について一緒に考えていきました。

今の状況から少しでも前進するために、できることは必ずあります

その後も浮き沈みはありましたが、子ども自身が自分なりに乗り越え、高校を無事卒業することができました。

困ったときに頼れる人がすぐそばにいない状況の中でも、がんばって取り組む姿はとても頼もしく、今も私の中に残っています。

ご家族の置かれている状況は様々であり、私たちの支援の仕方もそのご家族ごとに違っています。

子どもが子どもらしく前に進めるように・・・。ご家族がご家族らしく支えとなれるように・・・。できることは必ずあると、私たちは考えています。

親御さんだけではどうしたらいいかわからなくなったとき、お近くの不登校支援センターへご相談くださいね。私たちカウンセラーが、お手伝いをさせていただければと考えています。

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