不登校解決現場レポート中学生の不登校高校生の不登校

不登校の実態~中学時代のいじめを受けた子ども編③~

こんにちは。不登校支援センター横浜支部の庄子大貴(しょうじだいき)です。

前回は「不登校の実態~中学時代のいじめを受けた子ども編②~」という内容でお伝えさせて頂きました。

今回はAさんが高校生になり環境が一変した後、どうなったのか?話を進めて行きたいと思います。

高校生活を無事に迎えたAさん!しかし、根本的な解決は出来ていない状態

Aさんは全日制の高校へ進学し、不登校を経験した子たちで編成したクラスに在籍することになりました。

周りはAさんと同じような体験を持つ子達であり、お互いがお互いの状況を理解していました。その中でAさんも「中学時代でやり残したことを高校生活で取り戻したい」と思い、積極的に自分から周りの子に声を掛けたり、委員会に立候補したりと行動を起こしました。そして、次第にAさんを中心に話し相手ができ、無事に高校生活の良いスタートを切ることが出来ました。

しかし、Aさんは次第に、担任の先生に対して

  • 「周りの目が気になる」
  • 「教室に居たくない」

と発言するようになり、気持ちが落ち着かないときは無断で早退をすることもありました。

先生も「何かクラスであった?」「何か最近嫌なことあった?」と問いかけてみるものも「何も無い」と答えるだけで、Aさんのお母さんも「申し訳ありません」と謝ることが精一杯の状況でした。

学校に行きたくない。行かない理由も「無い」・・・

原因が無いとなると、子どもも親御さんもどうしていいか分からず、未来が見えない状況になりやすいと考えられます。

学校側の見解として、

  • 「仲の良い子が実は居ないからなのでは?」
  • 「学校とのつながりを持てば来れるのではないか?」

と原因論で追求しました。そして、担任の先生やクラスで仲良くなった友達がAさんにアプローチし続けると、Aさんは学校に来たり来なかったりを繰り返しました。しかし、Aさんは周囲との関係が良くなれば良くなるほど

  • 「私のこと最近見てくれない」
  • 「どうせ私のこと何て見てないんでしょ?」
  • 「あなたのこと何て嫌い」

と反発するようになったのです。

次第に周りの友達は「Aさんのことが良く分からない・・・・・」と言って離れ、Aさんも「こんなクラス居心地が悪い」というようになり、不登校の長期化の始まりとなりました。

自分の好きなことの為なら外出する不登校のAさん

担任の先生は不登校状態になったAさんと1週間に1回は連絡をする関係でした。

その中でAさんは、

  • 「SNSで新しい友達ができて、その子と遊びに行く」
  • 「今度、イベントに行く」

など、外出する旨を話したのです。自分の好きなことの”ため”なら外出することがある子どもの姿に、戸惑われる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。不登校状態でも家に籠もるとは限らないということですね。担任の先生も「学校で待ってるからね」と伝えるのが精一杯でした。Aさんはその後も学校に行くという選択をすることはあまりなく、たまに行くだけでした。

そして、 不登校状態が続いたある日に「退学します…」と言い出しました。

Aさんは高校2年生の10月、「私、学校を退学します」と言い出したのです。

それは修学旅行に行った後のことでした。その発言を受けた担任の先生はAさんの話を聴いた上で、「その選択は間違ってる」と否定したのです。Aさんは否定されると、学校を退学する様々な理由を挙げましたが、それでも先生はAさんへ、「根本的な解決にはならない」と伝え続けました。

信頼関係が出来ていなければ、Aさんはこの話を担任の先生に直接言うことはなかったと思います。信頼関係ができていたからこそ、Aさんは担任の先生へ自分の決断を伝えました。

子どもが強い口調で話しかけて来たときは「何かを受け止めて、ちゃんと聴いて欲しい」というサインです。

信頼関係を作る上では、とても大切なポイントとなるのです。

信頼関係を作るには、原因論から目的論へのアプローチが大切です

この頃からAさんは不登校支援センターへカウンセリングを受けに来ました。

私との信頼関係を結んで行く中で、Aさんから出てきたキーワードが「人との関わり方」でした。「人と関わろうとするとどうしても人のことを信じることが出来ない。疑ってしまう」と言うのです。確かにAさんの過去を振り返れば「トラウマ」と捉えることが一般的だと思います。

しかし、トラウマは”原因論”の考え方であり、

  • 「環境やその人が悪い」
  • 「自分は変われない、変わりたくない」

と、原因があると思うことで自分自身を守ることです。

不登校支援センターのカウンセラーは信頼関係を作りながら、しっかりと子どもや親御さんの想いを受け止めることで、未来に目を向ける話し方をします。つまり、トラウマは、未来を見据えた目的論で克服が出来るのですね。

これまで、「考える時間が必要」や「心が落ち着くまでゆっくりすれば良い」と様々な大人から言われてきたAさん。しかし、高校生は単位の問題があり、ゆっくりなどしている暇も時間も残されない状況でした。つまり、動きながら、かつ、克服をしなければいけない状況だったのです。

その時に大切だったのは「支える側の大人」の存在でした。

  • 担任の先生
  • お母さん
  • カウンセラー

それぞれ連携する中で、お母さんはAさんのことを全力で受け止めることが出来るようになり、先生もAさんの歩調にあわせながら、しっかりと向き合いました。

結果的に、Aさんは人を信じることができ、卒業することが出来ました。

信頼関係の基本は「相手を受け入れる前に自分から受け止めること」

「受け止めること」は全てを許すことではありません。相手が何を認めて欲しいのかを知ることがポイントとなります。この先生やお母さんもAさんが間違った行動をしたときは全力で叱りました。その時に大切なのは普段からの信頼関係だったのです。

不登校支援センターでは子どもに対するアプローチはもちろん、親御さんに対してもアドバイスさせて頂きます。子どもにとっては、ご家庭が社会の基盤中の基盤となります。なので、基盤を整えることが大切になってくるのです。

信頼関係の作り方に困ったときこそ不登校支援センターにお越し下さい

余談ですが、私は定期的に整体に通っています。肩こりと腰痛などの根本的な原因は

  • アトラス(首の第一頚椎)
  • ヘルビス(骨盤)

のゆがみに原因があるそうです。そのため、ただ肩を揉んだり、腰を揉んだりしても、一時的には気持ちが良く、痛みやもやもやから解放されますが、日が経つと普段の体の癖が出てきていしまいます。そうするとまた歪んでしまい、再び症状が出てしまうのです。その為、日頃から癖を意識したり、体を定期的に調整したりすることが大切になります。

整体は体ですが、カウンセリングは心の整体、いわば「整心」と言えます。

不登校支援センターにお越し頂く中で、心が気持ちよくなる体験をしていた頂ければと思います。

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