不登校解決現場レポート

長期間不登校でも解決できる?中学3年間不登校だったAさんの事例

こんにちは。不登校支援センター仙台支部の上原です。


突然ですが皆さんは、長年不登校を繰り返していた子が復学するのは難しいと思いますか?

不登校支援センターには長期間不登校であった子ども多く来訪されます。今日はその中の事例から1つをご紹介したいと思います。

中学校入学後、ほとんど登校していなかったAさん

Aさんと私が初めてお会いしたのは、Aさんが中学校3年生のときでした。Aさんの親御さんはAさんが中学2年生の時に不登校支援センターへ相談に1度だけお越しになっていました。しかしその後、特にご連絡もなく期間が空いており、その間、親御さんは心療内科や色々な相談場所に足を運ばれて、様々なことを試してみたそうです。しかしどうにもAさんに変化がなかった為、再度センターにお越しになられたという経緯でした。

親御さんからのお話によると、Aさんの状態は

  • 入学式から数日して行き渋りが始まった
  • 5月以降はほとんど行かなくなった
  • 夏休み明けからはまったく動いていない・・・

高校受験も近づいていた為、当然ですが親御さんは非常に焦っているご様子でした。

そして私がAさんとはじめてお会いした時にAさんが「とても疲れている」というのが見て分かりました。といってもあからさまに疲労しているという感じではなく「また親に変なところに連れてこられたぞ。やれやれ・・・」という感じです。

話し方も投げやりで「別に」「まぁ」「そうですね」のような単語をぽつぽつ口にするくらいで、どこか他人事でした。長期間不登校でいたことにより、当初持っていた「なんとかしよう」という気持ちもなくなって、何も考えたくない。考えない様子。また同時に少しでも考えようものなら今まで何もしていなかったことの後悔なども多く、今から頑張っても手遅れ、というように感じているようでした。

そこでカウンセリングでは、Aさんにどう接していくべきか、親御さんと相談しながら進めていくことになりました。

目標設定をどこにおくのか

まず親御さんと最初にご相談させて頂いたのが「何を目標とするか」でした。ご相談に来られた際は「何とかして欲しい」というご要望だったのですが、その「何とか」というのはどういう状態を指すのか、ということです。もちろん「子どもが毎日学校に通って、生き生きと幸せに生活して欲しい」というのは分かります。そこを目指すにあたってまず何から取り組んでいこうか、というお話ですね。実は、これは本人の状態によって変化するんです。

  • 勉強を頑張ること
  • 運動すること
  • 思いっきり遊ぶこと 等

何がその子どもにとって「生き生きと幸せに生活するため」に必要かは異なるのです。

ここでは、他人事のように自身の問題について考えようとしないAさん本人の状態から、「考える」ということを目標設定しました。というのも彼自身、漠然と「このままいったらやばいかも・・・」という感覚は持っているようだったからです。ただそれが本当に漠然とした危機感にすぎず、また親への反発やその他の要因により、考えること自体を放棄している状態でした。なのでまずはそこに目が向けられるようにする、というのを目標としました。

目標が決まったら?

目標に向けてのアプローチの仕方は多数あります。これも本人の特性や特徴に応じて、納得しやすい、取り組みやすい方法を探っていくことになります。Aさんの場合、ゲームが好きだったので、最初はそこを切り口に話をしていきました。同じゲームをするのでも誰かと話しながらプレイすると、そのゲームの設定やキャラクターの思い、製作者の意図はどこにあるだろう、など色々なことがお話できます。

その中でAさんの抱える「思考することに対する抵抗感」を減らしていき、同時にAさん自身の問題にも徐々に話題を傾けていきました。若干の拒否感はあったものの、少しずつであれば話せるようになり、今まで実は考えていたけど口にしていなかった思いを出してくれました。

  • 親に縛り付けられていたこと
  • 自分はもう駄目だと思って諦めていること
  • クラスメイトにバカにされた経験
  • やってみようと思って出来ずに挫折感を味わっていたこと

話し出せるようになると、Aさんからは本当に様々な話が出てきました。しかしその中で「じゃあこれからどうしようか?」という部分に話が行くとやはり口をつぐんでしまいます。「今更やろうと思ったって・・・」という気持ちが強いようでした。ここをほぐすのは少し苦労しました。ですが「これから先どうなりたい?」という部分で「ニートになるのはいやだ」という強い思いは引き出せました。

そこから最低でも高校くらいは卒業しておきたいという話になり、自分でも卒業できる高校はあるかと探すようになりました。そして本人は4年制の高校を見つけて「皆と同じように3年間で卒業するのは難しいけど、ここならやれるかもしれない」と思えるようになり、受験してその高校へ進学しました。ずっとやっていなかった勉強も親戚のお姉さんに家庭教師になってもらい習いながら少し取り戻し、自信を付けていくなども行いました。

入学後もカウンセリングを続けていましたが、ほとんど休まず通えているようです。親御さんからも「1年前では考えられない状態になった。よくここまで立ち直ってくれた」と喜ばれておりました。

長期間の不登校でも打開策はあります!諦めないでまずはご相談を

私はこの仕事をしていて綺麗事ではなく、本当に「やろうと思えばなんとかなる」と実感しています。特に子ども達はまだ若く、選べる選択肢も豊富です。ただ直面している本人たちはそれを中々理解できないで苦しんでしまうことがあるようでした。

大人になってから「40歳と42歳で何か違いがある?」と聞かれてもそこまで大きな変化は感じないでしょうが「中学1年と中学3年でどう違う?」と聞かれれば違いは色々出てくるでしょう。それは事実でもあり、同時に錯覚でもあります。様々なライフイベントがあることと、取り返しがきく日数かどうかは別の話です。ですがしばしばそれを混同して捉えてしまうことがあります。

そこを解きほぐして本来の対応を継続できれば問題は解決できます。

「長く続く前に解決を」と同時に「長期化した不登校へのアプローチもある」と知っていただければ幸いです。

それではまた。無料面談について詳しくはクリック

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