不登校になる可能性が高くなる?間違えやすい「考え方の順番」とは
こんにちは、不登校支援センター仙台支部の上原です。
皆さんは、「分かっていても、やってしまう・・・」そんなことってありませんか?
今回はその反対に「分からないから、やってしまう」ことについて取り上げたいと思います。
これは子どもに限らず大人にも起こり得る可能性があるのではないでしょうか。
「分からないから、やってしまう」とは、具体的にどんな状況が思い浮かびますか?
ここでは、とある教授と生徒の会話から「分からないから、やってしまう」ことについて例を挙げたいと思います。
とある教授が、生徒にコップを見せます。中には大きな石がいくつか入っていて、ふちの辺りまで埋まっています。
それを見せながら教授が生徒に尋ねました。
教授「これはもう一杯だと思うかい?」
生徒はコップの中は石がふちのほうまで入っているので、
生徒「そうですね、一杯だと思います」と答えました。
すると教授は少し意地の悪い笑みを浮かべて、ポケットから砂の入った袋取り出しました。そして生徒が「もう一杯だ」と答えたコップにそれをさらさらと入れたのです。
教授が再度、生徒に尋ねます。
教授「砂は入ったようだ。これはもう一杯になったかな?」
一杯だと答えたコップには砂が入る余地がありました。生徒は考えこみます。生徒が無言で考えていると、教授はコップを水道へ持っていき、蛇口をひねりました。石と砂でほとんど埋まっていたものの、隙間に染み込むように水は少し注がれました。そして教授は、コップのふちに並々と水を溢れそうなほどいれました。
教授が再度、生徒に問いかけます。
教授「これでこのコップはもう一杯だろうか?」
生徒は流石にもう入れるものはないだろうと考え、
生徒「そうですね、流石にもう一杯だと思います」と答えました。
教授も同意して「そうだね、これはもう一杯と言ってもいいだろう」と答えます。
そして最後に生徒に向かってこう問いかけます。
教授「このことから、私が言いたいことはなんだったと思う?」
皆さんは、この教授が言いたいことは何だと思われますか?
生徒は教授の質問に対して以下のように答えました。
生徒「もう限界と思っても、工夫すればまだ隙間はある。どんなに忙しくて無理だと思っても、やり方次第で可能になることもある。というようなことでしょうか?」
教授はにっこりと笑いながら「そうだね、確かにそういう捉え方も出来るね」と答えます。
生徒は自分の回答が教授の伝えたかったことではなかったと悟りどんな意味だったのか質問します。教授の答えはこうでした。
教授「コップを君の人生の容量として考えよう。コップの中に入る分だけしか君は物事を受け止め切れない。最初に君が見たコップの中に入っていた石。スペースのほとんどを埋めているあの石が、君にとって大切なものだ。だから最初に石はコップに入れてあった。しかし僕たちはたまに入れる順番を間違えてしまう。自分にとって大切ではない砂粒や水を先に入れてしまうことがあるんだ。それこそ後から大切な石が入れられなくなってしまうくらいに」
「僕が言いたかったのはそこなんだ。君にとって大切でない物事を優先して、大切なものが入るスペースをなくしてはいけないよ。これは僕自身が気をつけていることだけれどね」
自分が何につまずいているのか、自分の目的は何なのか
私たち人間は、万能の存在であるとは言い切れないところがありますよね。全部をうまくこなそうと思っても限界がきてしまうこともあるのではないでしょうか?「物事をうまくこなそうと努力するあまり、優先順位を間違えてしまう・・・」そんなことが、たまに起こります。私が不登校支援センターでのカウンセリングを受け持っている子どもたちの中にもそういったケースはあります。
例えば、A君の場合・・・
A君は、大学に進学することが、今の自分にとって一番重要なことであると感じていました。しかし、クラスになじめないという悩みを抱え、不登校になっていました。このA君の状況を、先ほどの【コップの中の石・砂・水】で例えてみましょう。
- A君にとってのコップの石(=一番大切な物事)は「大学に進学すること」
- A君にとっての砂粒は、クラスに馴染めない、周りと上手くやりたいという気持ち
- A君にとっての水は、学校を欠席することが増えたことによって、自分が周りからどんな風に見られているかという不安
A君は、大学に行くことを重要としているわけですから、本当であれば「大学進学の為に頑張る!」という石を最初にコップの中にいれるべきですよね。しかしA君は、
- 上手く馴染めないという悩みの砂粒
- 周囲の評価に対する不安という水
を先にいれてしまいました。A君は今の自分にとって重要なことは分かっていましたが、優先して考える順番が分かっていなかったんですね。それにより、一番の目的だった「大学進学の為の努力」を入れる場所がなくなってしまい、不登校状態になってしまったと考えられるのです。
自分にとっての優先順位をどうするかについては冷静に考えてみると、そんなに難しいことではありません。しかし、追い詰められて苦しい思いをしている時には、中々冷静に考えることが出来ませんよね。「理屈では分かるけど感情がついていかない・・・」ということも十分起こり得ることと思います。しかし優先順位をつけることは、自分が抱えている問題を理解できてから取り組む部分です。まずは自分が何につまづいていて、何をしたいと思っているのか。そこを整理しなければ、先に進むのは難しくなることが考えられます。
そして1人で考えているとどうしてもマイナスの方向へ思考が落ちてしまうことが多いです。
皆さんもそんな経験がありませんか?
問題を整理して、自分自身と向き合うために・・・
自分が抱える問題点を整理して、自分がどうしたいのかという本質に向き合うことはとても難しいことかもしれませんよね。そもそも、それが出来ていれば悩まないであろうし、不登校になることもなかったのでは・・・と考える方もいらっしゃるかと思います。
カウンセリングでは子どもたちがそこに向き合えるように色々なアプローチを行います。
対話や自己分析など手法は様々ですが、本人に合った対応を探していきます。
- 分かっているけど出来ない・・・
- 考えても分からない・・・
- そもそも考えられない・・・
そんなときは一度、不登校支援センターにご相談くださいね。きっとお力になれると思います。
関連ワード: カウンセラー , カウンセリング , キャパオーバー , クラスに馴染めない , つまづき , マイナスの感情 , 不安 , 不登校 , 不登校支援センター仙台支部 , 事例 , 働きかけ , 優先順位 , 努力 , 周囲の目が気になる , 問題の整理 , 大学進学 , 子どもとの関わり方 , 悩み , 目的 , 自分と向き合う , 適切なアプローチ