【事例】2年間学校に行っていなかったAさんが教室に入れた理由①
こんにちは、不登校支援センター横浜支部の安則芳郎です。
本日は、とある不登校事例の紹介をしたいと思います。
※登場するAさんとそのご家族については、ご本人たちに同意を得た上で紹介させていただきます。
小学校時代から学校に行っていなかった中学1年生のAさん
Aさんがご家族と共に、不登校支援センターを訪れたのは中学1年生の夏休みのタイミングでした。
ご両親はAさんの状況について、「1年間子どもの様子を見て待ってみた。けれど、中学校に入ってからも“教室が怖い”という思いを拭い去ることが出来ず、変わる気配がないので、カウンセリングを受けようと思った」と仰られていました。
では、Aさんが学校に行けない理由とは?
Aさんは、小学校6年生の頃からクラスメイトと自分との間に「違い」や「違和感」を感じていました。そしてAさんは次第に教室に入ることが怖くなり、学校に行かない状態となりました。学校では、特にいじめ等があったわけではないようです。Aさん本人も、学校に行けない理由について「よくわからない」という状況でした。
カウンセリング開始。Aさんについて見えてきたこと
こうしてAさんご家族とのカウンセリングが始まりました。カウンセリングでは、Aさんとだけではなく、ご両親ともお話をさせていただき、ご家族としての対応方針について考えていくこととなります。
カウンセリングでのAさんの様子は・・・
最初、Aさんはカウンセリングというものに抵抗があり、あまり心を開こうとはしませんでした。ですが、好きなアーティストの話や共通のゲームを実施する(いわゆる遊戯療法)を通し、徐々にAさんから学校の話題が出てくるようになりました。
Aさんとのお話の中で見えてきたこととしては以下のようなものがありました。
- Aさんは自信がなく自己主張を苦手としている
- Aさんの思考パターンとして「注目されたい」というものが多い。ご家族の中で泣いたり、落ち込んだ様子を見せるのは、注目を得たいという目的のもと行われている可能性が高い
- 本当は学校に行かなくてはならないことは分かっているが、漠然と、教室が怖いというイメージがある
- 高校にも行きたいとは思っているが、今のままでは希望の高校に行くことが出来ないという危惧がある
- 先生や生徒が自分のことをどう思っているのかが気になる
これらは、Aさんやご両親との対話だけでなく、カウンセリングの中で実施した心理テスト等の結果からもわかったことです。
カウンセリングのテーマ「自分に自信を持てること」
まずはAさんが「自分に自信を持てること」をテーマにカウンセリングは進んでいきました。もちろん、すぐに学校に行ってもらいたいという、親御さんの気持ちもあったかと思います。しかし、支援の仕方にはその子どもに合った、段階的なアプローチが必要になります。
そこで、Aさんに合わせた支援の仕方として、親御さんと共に取り組んだ内容は・・・
- 他者との比較ではなく、過去のAさんと比べる。⇒出来るようになってきていることに注目し、Aさんにもその変化成長を伝える
- 何かを決める際にはAさんに選択肢をあたえる。⇒「Aさん自身が決めて行動している」という感覚を持ってもらう
- 泣く、落ち込むというAさんの行動パターンに振り回されない。⇒逆にAさんが前向きな発言や態度、行動をとった時にこそ関心を示す方法をとる
という3つの対応でした。
これら3つの対応を実施することで、Aさんに劇的な変化が起こったわけではありません。しかし、本当に少しずつの変化でしたが、親御さんはそのAさんの些細な変化を見逃さず、カウンセリングの中で私に伝えてくれました。私自身、とても印象的だったのはAさんが少しずつ成長していっている様子を、親御さんがとても嬉しそうに、誇らしげに語ってくれる姿でした。
Aさんが不登校支援センターに通っているあいだ、Aさんと学校の担任の先生は直接会うことはありませんでしたが、プリントや行事予定表などは途切らすことなく、郵送してもらっていました。
そして中学1年生の冬休みに、Aさんとご両親、またAさんとカウンセラーが話し合っていく中で、Aさんはある決意を固めます。
「別室登校をする」という決意です。
別室登校を決意したAさんに待ち受けていた現実
冬休み明けから別室登校をはじめようとするAさんでしたが、そこからもまた乗り越えなくてはならない現実が待ち受けているのでした。
Aさんが
- どのように別室登校に取り組んだのか
- その後どのようにして教室に戻っていったのか
については、次回またご紹介させていただきます。
それでは本日はこの辺で。
【事例】2年間学校に行っていなかったAさんが教室に入れた理由②
【事例】2年間学校に行っていなかったAさんが教室に入れた理由③
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