葛藤を抱いている子どもとの関わり方➃
こんにちは。不登校支援センター横浜支部カウンセラーの本沢裕太です。
前回は、葛藤を抱いている子どもとの関わり方③として、怒りや抑うつ状態の段階ではどの様に対応出来ると望ましいかを一緒に考えていきましたね。
今回は、受容の段階で注意すべき事や、どの様に対応出来ると望ましいのかを一緒に考えていきましょう。
受容しようという状態は、今まで避けていた現実と向き合い始めている段階です。
受容しようという状態は、今まで避けていた現実を乗り越えていく為の試練の真っ只中であり
- 思い通りにならない事に直面している
- 周りと比較して自分が劣っていると感じる
- あの時もっとこうしておけば良かったと後悔している 等
四方八方の色んな壁にぶち当たっている最中のことです。
何より、この段階に入ると表面的には子どもが元気になってきている様に見えるので、周りからは「もう大丈夫なんじゃないか」と思われます。そのため子ども本人は、余計に「まだ大丈夫じゃない・・・」と言い出しにくい環境になりますし、その周りとの認識のギャップに、焦りや無力感・孤立感を感じてしまいます。
例えば・・・
学校を休む期間が長くなった子どもが久しぶりに登校した状態などは、これに近いです。
親御さんや先生の立場ですと、「やっと学校に行ってくれた(来てくれた)」と思いたくもなりますよね?それまで根気よく子どもの変化に注目され、サポートをされてきた方であれば、その子どもの前進を嬉しく感じる事はおかしい事ではありませんよね。そして「学校へまた行かなくなるのではないか」というご不安を感じるうちは、引き続き注意深く見守っていただくのではないかと思います。
この「子どもの久しぶりの登校を見守る」状態がしばらく続くと、周囲が「学校へ行くのが当たり前」と感じる時がきます。
ここで子どもの状態と周りの認識のギャップが生まれやすいのです。特に、
- GW明け
- 夏休み明け
- 冬休み明け
- 春休み明け
などに、そういった周りとの認識のギャップに焦りや無力感・孤立感を感じてしまう状態になっている子どもも良く見られます。この状態を拗らせていくと、最悪の場合、子どもは再び学校に行かない状態にもなりますし、登校しようという気持ちから益々離れてしまいます。
まだまだ子どもは傷つきやすい事、それでも一歩ずつ前進しようとしている事を理解した上で、子どもと関わることが大事
まだまだ子どもは傷つきやすく、それでも一歩ずつ前進しようとしている事を理解した上で、周囲は子どもと関わることが大事です。子どもは、前進していく中で自分自身が経験した事を糧に
- また失敗したらどうしよう
- また傷ついたら嫌だな
- もっとこうしなくちゃいけないのに出来ない
といったネガティブな発想や、失敗を避けて実行しない自分や、後回しにしてしまう自分、逃げ出したくなる(やらない事を選択したくなる)自分と向き合い、乗り越えていくのです。
ここでは子どもが一度でも「乗り越えた!」という体験をする事がとても大切だと感じています。
そして、ちょっとサボったり逆戻りしかける事があるという前提で、子どもと関わっていてください。
それで良いんです。【やってみた】→【サボった】→【やってみた】→【サボった】・・・を繰り返しながら、習慣にしていけば良いのです。三日坊主、万歳です!
むしろ本当に三日坊主だとしたら、三日連続でやる事が習慣になっているという事です。
ついつい
- またサボってるの
- 三日しか続かないの(もうやめちゃったの)
- 明日はやりなさいよ(行きなさいよ)
と、「サボった」部分をピックアップしてしまうかと思います。
せっかく子どもに「出来た!」という達成感を感じさせたいシーンで、「出来てい
ない」点に意識を向けさせてしまうのは、とてももったいない事です。なぜなら、【サボった】→【やってみる】に移行する際に子どものモチベーションの支えになってくれるのは「出来た!」という過去の体験です。「出来た!」という達成感を存分に堪能させてあげてくださいね。
最後に…
「葛藤を抱いている子どもとの関わり方」を全4回に渡り、人が事実・現実を受け入れてから新たな行動に移すまでのプロセスとそれぞれの段階での対応方法を一緒に考えて参りましたが、いかがでしたか?
子どもは、今どの段階でしょうか?また、親御さんは今、どの段階ですか?
客観的に振り返る事で、今後の子どもとの関わり方のヒントにして頂ければ幸いです。
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