【復学事例】クラスの人の目が気になる不登校の高校2年生男子の場合
こんにちは。不登校支援センターです。
こちらは過去記事となります。皆様の日々のかかわりのご参考になれば幸いです。
暖かさが安定してきましたね。野球好きな私としては、体がうずうずしてくる時期になりました。
今回は不登校支援センターに通っている高校2年生A君の事例を紹介いたします。
「学校は行かなきゃいけないけど、クラスの人の目が・・・」A君と行った3つのこと
この言葉、私もよく耳にしますが、「子どもから言われた事がある!」という親御さんも多いのではないでしょうか?
高校2年生のA君は私と学校の話をした時に、この「学校は行かなきゃいけないけど、クラスの人の目が・・・」という言葉を口にしました。高校生なので出席日数や単位の問題もあり、A君も親御さんも焦っていました。
この問題への対応としてどのようなことが考えられるでしょうか?
- 保健室登校はどうか
- 時間をずらして登校するのはどうか
などが一般的に考えられやすいかと思います。
A君も同じような提案を周囲の人々からされていました。しかし、登校することはできない状態でした。そんな中、A君とのカウンセリングが始まりました。まずA君と行ったことは、3つあります。
- 状況の把握
- 目標設定
- その目標のためにやるべきことの整理整頓
です。
A君は「大学に行きたい」ということを優先的に考えていました。そのためまずは
- 大学に行くためには何が必要か
- 今の自分はどのような考え方をしやすいのか
という状況の把握に取組みました。
大学に行くために「高校を卒業すること」を目的とし、出来そうな行動を話し合っていきました。そして、A君は「参加できるところから学校に参加したい」という目標を設定しました。
その目標を実現するために
- 学校の予定を確認する
- 学校行事に参加する
ことを決めました。そのための準備として、「まずは学校の空間に慣れよう!」ということになりました。
このように目標実現のために行うことをカウンセリング内で整理整頓していった結果、A君は保健室登校を選択しました。
目標実現のため、保健室登校を選択したA君
初日、彼は不安で不安で一杯だったそうです。
中々登校が出来ずに居ましたが、「大学に行きたい!」という思いから、保健室に行ったそうです。初日はほんの数分間でしたが、A君は登校することが出来ました。その後カウンセリングに来た際にA君は「緊張したけど達成感はあります」と私に教えてくれました。
そして、その達成感を得るために次はどんなことができるか?を考え、A君は図書館登校を試みました。その後も不安を抱えながら次々にA君は自らが決めたミッションをクリアしていきました。
しかし、そううまくはいきません。
図書室登校から教室登校へのステップ。「クラスの人の目が気になる」というA君
図書館登校から教室登校というステップでA君は大きく躓いてしまいます。達成感を得るために、教室に行こう!と決めたのですが、今までとは違う緊張感がA君を襲っていました。ここでやってきたのが、「クラスの人の目が気になる」という問題です。
そんな時、私がA君とのカウンセリングを行う中で大切にしていたことは、
「クラスの人の目が気になる」という気持ちを消そうとするのではなく、目標のために、今後はどうしようか?という視点を持ち、考えを進めていくこと
でした。
そのため、まずは教室に行くステップを考えよう。とA君に提案し話しあいました。その結果、「教室のフロアまでまず行ってみて、行けそうであれば教室の前まで行ってみる」という段階をふんだステップを共に考えつき、実際の行動にうつすチャレンジをしてみました。
チャレンジの結果、教室に向かう階段で緊張が強くなり、途中で断念してしまったのですが、「階段まで行けた」とカウンセリングに来てくれました。その後教室に行くまでのステップを何度か繰り返し、朝のHRや授業に参加できるまで状況は進んでいきました。
大切なことは、決断を下したのは全てA君であるということ
詳しい内容は掻い摘んで書かせていただきましたが、どのような流れがあったのかまとめますと、
- 現状把握
- 事柄の優先順位付け
- スモールステップの意識を持つ
- 行動
という流れです。
この中で大切なのは、決断を下したのは全てA君自身であるということ
です。
私や親御さんはA君の視野に無かった選択肢を与え、気持ちを汲んでA君が目標を達成できるような後押しだけをしてあげただけです。やらされたという被害者意識をA君が持ってしまうと、最初に逆戻りし易く(悪化しやすく)なってしまいます。つまり、不登校の再発に繋がってしまうのですね。
子ども自身が「やってみよう」という当事者意識を持つことでしっかりと課題に向き合うことが出来ます。周りの方々はそんな子どもの後押しという役目をしていただきたいと思います。
現在のA君は・・・
現在のA君は、全くクラスメイトの反応を気にしなくなりました。
「自分のことで精一杯になったので、気づいたら意識しなくなりました。」とA君は言ってくれました。
子どもが訴えてくる不安や原因は表面的なものが多く、親御さんをはじめとする周りの人が振り回されてしまいます。不安の原因を抑えるのではなく、これからどうするかに着目して復学へのステップを一緒に考えていきましょう。
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