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スタジオジブリ「耳をすませば」から考える父として子どもの進路選択との向き合い方

こんにちは。不登校支援センターです。
こちらは過去記事となります。皆様の日々のかかわりのご参考になれば幸いです。

本日は子どもの進路選択に対して、親はどう向き合うのがよいだろうかということについて、お話をさせていただきます。

スタジオジブリ「耳をすませば」にでてくるお父さん

みなさんもきっとご存知の、スタジオジブリ「耳をすませば」を、私は先日久しぶりに鑑賞しました。

中高生の頃に見たときは、月島雫と天沢聖司の恋愛模様がとても印象的だったのですが、今見てみると、昔とはまた別のところに感動しました。

中でも素敵だなぁと思ったのは、主人公の雫のお父さんです。小説を書くことにのめり込むあまり成績を100番落とし、あげくには小説を書きたいから「高校には行かない」と豪語する雫に対して、お父さんはこんな言葉を投げかけます

雫が図書館で一生懸命、何かやってるのを見てるしなあ。感心してたんだよ。

雫のしたいようにさせようか、母さん。一つしか生き方がないわけじゃないし。
よし雫。自分の信じるとおり、やってごらん。でもな、人と違う生き方は、それなりにしんどいぞ。何が起きても、誰のせいにもできないからね。

そして雫は自分の小説を書く力を試しました。結局は、小説を書くには高校に行き、もっと勉強して知識を増やさねばならないと気付くのです。

雫のお父さんは、娘が何をやっているのかをよく知らなかったのですが、それでも娘が自分の可能性を試すチャンスを与えてあげました。「自分がこのお父さんの立場だったら」と考えると、果たしてこんなことを言えるだろうか、と思います。

進路選択の問題

学校に行っていない子どもを持つ親御さんも、似たような場面に遭遇するかもしれません。

例えば・・・

中高一貫校に通う中3の子どもで、今は全く学校に行けていないのに「内部進学する!」と言う子どもなど。

そういった問題に直面する親御さんは結構多くいらっしゃいます。

  • このまま内部進学させていいものか
  • 高校からは出席日数や単位によって進級の可否が左右されるため、いずれ進級できなくなってしまうのではないか

と心配ですよね。それとも別の環境に移してあげた方がいいのだろうかとも迷いますし、とても難しい問題です。

他にも「Youtuberになりたい!」と言う子どもも、ちらほらいます。それ以外にも、大きな夢や希望を語るけれど、ちゃんとやれるのか心配な子どもだったり。

  • 職業として成り立つのか
  • 生計は立てられるのか

親としては不安ですよね。

こういったときにご注意いただきたい点が一つあります。それは・・・

親が子どもの進路を勝手に決めない

ということです。

なぜかというと、親が決めた進路に進んで、順調に行けばそれはそれでいいのでしょうが、上手く行かなかった場合に

  • 「親が勝手に決めたからこうなったんだ!」
  • 「本当はこんな道に進みたくなかった!」

と責任転嫁されてしまうことが多いからです。上手くいかなかった原因を、自分の進路を親が決めてしまったことにあると子どもに感じさせやすいのです。

そうなってしまうと親御さんもショックですし、子どもの方でも責任転嫁してしまうのでせっかくの成長の機会を逃してしまうかもしれません。上手くいかなかった責任をしっかりと自分で負い、「こういうところがいけなかったんだろうなぁ」と振り返り改善点を見出すからこそ、人は成長するのです。その成長の機会を逃してしまうのはもったいないですね。

雫のお父さんの「人と違う生き方は、それなりにしんどいぞ。何が起きても、誰のせいにもできないからね」という言葉には、そういった大事な意味が込められているのだと思います。

上手くいくか上手くいかないか、どちらに転んだにせよ、その子どもの成長に繋がるようにしたいものです。そういった意味で、進路選択は自分で決断してもらうのがとても大事です。

親御さんの頑張りどころとしては、子どもが自分の決断に沿ってやってみて上手くいかなかったとき、フォローしてあげることではないでしょうか。

子どもに自分で「失敗しても立ち直る」経験を

また別の問題としては、子どもに失敗させないように親御さんが頑張りすぎると、子どもが失敗を恐れるようになりやすい、ということです。「大きな失敗を避ける」というのも大事なことではありますが、「失敗しても立ち直る」という経験も大事なことではないかと思います

子どもが転ばないようにしてあげたくなるのは当然なのですが、子どもには転んで怪我をすることで学習して、自分で転ばないようになってもらわないと困りますよね。

自転車で言うならば、乗り始めの最初の頃は補助輪が必要でしょうが、補助輪を外して乗る練習をしないと、いつまでも補助輪を外せないのと同じようなことですね。転ばぬ先の杖を持たせるのも、子どもの年齢が上がるとともに緩めていいでしょう。

人が持つ可能性には、プラスの可能性もあれば、マイナスの可能性もありますね。
難しい挑戦をしたり、夢を追ったりすることで、充実した生活を送ることになるかもしれないし、失敗や挫折をして深く傷付き落ち込むかもしれない。しかし、「若いときの苦労は買ってでもせよ」という古くからの教えがあるように、人生において失敗して苦労する経験は、価値あるものになりうるのではないでしょうか。

大人になるまで大きな失敗をせずに生きてきて、大人になってから大きな失敗をしたとき、果たしてそれに持ちこたえられるものかどうか、危ういものです。

不登校支援センターに来られた、とあるお父さんのお話


ここで、センターに来られていた、とあるお父さんが私にしてくれたお話を紹介したいと思います。私はとても感動したので、よく記憶に残っています。

我々大人は「こうしたら失敗する可能性が高い」ということに気が付きますから、子どもに対して「そうしてはいけない」とか「こうしなさい」とか色々と言いたくなります。しかしふと自分のことを振り返ってみると、我々がそういうことを分かるようになったのは、自分自身が色々と失敗する経験を積み重ねてきたからだと思うんですよね。

ただ、自分の子どもにはどうしても嫌な思いをして欲しくないので、失敗させたくないと思いますから色々言ってしまいます。子どもの方からすると何故それがいけないのか、身を持って経験していないから分からないんですよね。だから適度に失敗させてあげることも大事だなと思うようになりました。

以上のようなことをお話いただき、私はとても感慨深く思いました。子どもの失敗を未然に防ぐのが親の務めか、子どもが失敗したときに手を差し伸べるのが親の務めか、ぜひご自分の中で整理をしてから、子どもの進路の問題に向き合ってみましょう。

それでは、またの機会にお会いしましょう。無料面談について詳しくはクリック

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