「教室に入りたくない」という子どもは何故教室が嫌なのか②
こんにちは。不登校支援センター横浜支部カウンセラーの本沢裕太です。
今回は、前回のブログ「教室に入りたくない」という子どもは何故教室が嫌なのか①の続きをお伝えしていきたいと思います。
ナワバリ意識が強い子どもが、教室にいる事を不快に感じない様になるには、どうしたら良いのかというテーマでしたね。
まず、なぜ不快に感じてしまうのかの補足説明をしたいと思います。
何故教室が不快に感じてしまうのか、の補足説明
我々は、普段何気なく五感で受け取っている情報が多いです。五感とは、ご存知の通り、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の事です。そして受け取る情報は、思い込みが強ければ強いほど客観的ではなく主観的になります。その思い込みを「バイアス」と呼びます。
例えば、
- メガネを掛けている人は誠実
- 声が大きい人はがさつ
- 身なりが整っていない人は怪しい
- 柔軟剤の良い香りがする人は几帳面
- 犬は噛みついてくる動物
- ウサギは大人しい動物
- ○○のラーメンは美味い!(マズイ!)
などなど、私が過去に持っていた「バイアス」を幾つか、あえて大げさに書いてみました。以前、飼っていたウサギが、夜に家の中で「運動会」をしている姿を見て、かなり驚きましたし、美味しいと思って行ったラーメンが、その日は口に合わなかったり・・・。
こういった「バイアス」は、誰もがお持ちだと思います。
ただし、「必ずしもそうとは限らない」ケースと出くわす事もあります。そういった際に、この「バイアス」はどの様に働くのでしょうか?
必ずしもそうとは限らないケースに出くわした時、バイアスはどのように働くのか
眼鏡を掛けているAさんがいたとします。
上記の例から、こちらはAさんは誠実な人だと思っています。
そんなAさんが、9回約束に遅刻してきたとしても、1回だけ約束の時間よりも早く来ていたら
- 「やっぱりAさんは、約束通り時間を守る誠実な人なんだ。」
- 「きっとやむを得ない事情があったに違いない」
という様に、事実を歪めて、自分の「バイアス」に寄せた解釈をしようとするのです。
もちろん逆に解釈されてしまっているケースもあります。元々「Aさんは誠実ではない」というバイアスを持っていたとすると、9回約束の時間通りに来ていても、たまたま1回遅刻してしまった事で「やっぱりAさんは、約束の時間も守れない様な不誠実な人なんだ」と解釈されてしまうのです。不登校になる子たちは、こちらのケースが多いです。
自分がどういった「バイアス」を持っているのかを理解していれば「Aさんは遅刻をしたから不誠実と感じてしまったが、良く考えてみたら9回は時間通りに来ているから、不誠実ではないのかも・・・」と捉える事も出来ますよね。
また、こういった「バイアス」は、一度そうだと思い込んでしまうと抜け出すのに苦労します。
※「癖を振り返って自分に合ったストレスコーピングを使うことが不登校解決に繋がる」の内容も合わせてお読み頂けると分かりやすいと思います。
実際に子ども達から聞いた話をいくつか挙げてみると・・・
- ○○さんは、いつも自慢話ばかりする。
- ○○さんは、自分勝手だ。
- ○○が好きな子とは話しが合わない。
- クラスメイトは皆、私の興味の無い話をしている。
- クラスメイトは皆、私よりも優れている。
- クラスメイトは皆、私を無視している。
などがありました。
子どもやご家族がこの様な事を言っていたら、皆さんならどの様に答えますか?
英語が苦手な高校生のAさんの実体験を紹介します
Aさんが中学生の時の担任の先生が、英語の担当だったそうです。
Aさんは、クラスメイトからからかわれて辛い思いをした際に、1度だけ先生へ相談した事がありました。ところが先生は、Aさんの悪い所を指摘してきました。Aさんは、「この先生の話を聞く事は、自分にとってストレスだ」と感じました。
それ以来、英語の授業中も、先生の話を聞く事が嫌になってしまい、徐々に内容にもついていけなくなってしまい、英語自体に苦手意識を持つようになってしまいました。
しかし、親御さんから詳しく話を聞いてみると、また違った印象をお持ちでした。別室が利用出来る様に配慮してくれたり、課外活動の際も嫌な子とグループにならない様に配慮してくれていたそうです。しかし、Aさんは担任の先生の「一部」だけを見て、「ほら!やっぱりこの先生はいつもこうなんだ」と思い込んでしまった訳です。
では上記の子ども達やAさんに、
- 「いつも(皆)とは限らないでしょ!人の一部だけで判断しないで、もっと良い所も見なさい!」
- 「それはあなたの思い込みでしょ!」 等
と言ったら、どうでしょう?素直に納得する子もいるかも知れませんが、多くは反感をかってしまうでしょう。そんな時は、次の事をお試し頂きたいと思います。
試していただきたいことは・・・
周りの大人がAさんの良い所も見てあげてください。そして、それを本人に伝えてあげましょう。
他にも素敵な方法はたくさんあると思いますが、今回はこの方法を選びました。
「あなたって、あんな面もあるし、こんな面もあるよね。」という感じであれば、そんなに難しくないですよね。子どもは「ちゃんと自分の事見てくれているんだ」という実感が積み重なると、他の人にも実践しようとします。
そして実践する事で、自然と他の人の色んな面が見えてきます。
では次回は、子どもの良い面を見つけやすくする為に簡単に出来る事をお伝えしたいと思います。
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