【再掲載!】学校行事への参加は不登校が悪化する原因??
※この記事は平成28年11月19日に掲載されたものとなります。
こんにちは。不登校支援センターの佐久真です。
すっかり秋も深まり、どこの学校でも『体育祭』や『合唱祭』など、イベント目白押しですよね。不登校で学校に行けなくても、こういったイベントごとや思い出作りのための『遠足』や『修学旅行』には親御さんとしても是が非にでも子どもを参加させたいというお気持ちになられたことかとお察しいたします。
不登校の我が子が学校行事に参加して大丈夫?
学校を長く休んでいると、学校の臨場感が抜けてしまい、急に衆人環境(学校)に行ってしまうと、いつも以上にストレスを感じやすくなったり、起こりうる事態を想定した気持ちの準備が間に合わず集団に合わせた行動ができない可能性が出て来ます。
カウンセラーとしては、担当している子どもがもしイベント事に参加するのであれば、『準備ができていて、参加する”目的”がはっきりと絞られているのか?』 ということを必ず確認しています。
親御さんも子どもが行事ごとに参加することで、「その後も登校するのではないか?」ということを期待されると思います。しかし長年不登校生徒を見続けてきて、急に何の準備も対処法も持たずに参加して、その後学校に行けるようになった、というお話はあまり聞いたことがありません。。
むしろ、より状態が悪化したというケースが多いです。
なぜ子どもの状態が悪化するのか?
前述したように、カウンセラーや親御さんが子どものその時状態をしっかりと見極めた上で子どもが主体的に(誰に勧められたわけでもない自分の意思で)かつ、はっきりと参加目的を絞って参加したのかどうか、という点が重要になります。
親御さん(先生や周囲の大人)はこういったイベントに参加することによって子どもの”行動の変化”を期待しておられることが多いかと思います。
しかし、参加して状態が悪化してしまえば元も子もありません 。
また、期待という感情は一旦上がると、期待した通りに子どもが変わったり行動したりしない現実を目の当たりにした途端に、子どもの行動そのものから親御さんはストレスを感じます。
そして、自ら(親御さん自身)にかかるストレスへの対処療法として、子どもに『なぜいけなかったの!?』と理由をつけさせようとしたり、行けなかった行動を否定・指摘をしたり、その後も形だけの登校刺激をしたり、無理に心療内科や、カウンセリングに連れて行こうとしたりすることが多いと感じています。
- 『朝起こす』
- 『生活態度に言及する』
など、親御さんは様々なことをして、無意識に ”ご自分の感情の処理” として行なってしまいがちです。
不登校支援の基本はスローステップの成功体験を積み重ねることです。学校以外の場所で、集団に入って行くこと、その中で過ごすこと、周りを意識して行動すること、 自分の苦手なことにチャレンジすることで、その中で一人で過ごせるというストレス耐性がついてくるのだと思います。
(事例)中1:女の子
- 自分から話しかけたりするのが苦手。
- 話しかけられないor話しかけられてもうまく応対できないことを想像し、それを自らは”ストレス”と捉えている。
- そのストレスへの対処法として 『話しかけない』ことや『話しかけられないように振る舞う』という行動を普段自分の学校などの生活の中でしている。
①事前のカウンセリングで上記のような話を話してくれました。
②「普段の現実の生活で出来ないと思っていることを遠足という機会に自分がどうなるのか、ちょっと試してみない?」とその子に提案してみました。これは過去の失敗体験を成功体験に書き換えてあげたい一心で行った目的でアプローチです。
③一緒に考える
→どのような環境なのか、どんな人達が来るのか等 情報を与えて子どもに想像をさせ、その想像したことについてカウンセラーと一緒に考え共有する。
→想像した内容がどのようなものなのか、例えばストレスと受け取っているのかチャンスと捉えているのか等、カウンセラーと共有する。
→自らその環境に”行く”ことを決断させる。(これが最も重要であり、これは表面的な言葉だけでは決断したとは確認できません。『行く』と言わせることが大事なのではありません。)
④自ら行動する予定のことを、まずは決断させる。(決断をしたことに対して、実行に移すことが苦手な子もいるが、今回参加する!と決断した限りは実行に移すために、どのような行動を取ることが必要なのか、しっかりと考えさせる)
★注意点★
(間違っても、親が「参加して欲しい」という気持ちを前面で出して、親御さん主導で促したり、意識が向くように状況を作ったりはなすべきではないと考えて行ったケースです。朝起こす、行くか行かないか聞く、等先回りをした手助けをしない)
当日の目標を決定
例)
- 集団の中にただ”いる”ことが最低限の目標
- 誰かに話しかけてみる
- 話しかけられたら応答してみる
- ルール/規則を意識して行動する
- 自分では”無駄だ”と捉えていることにトライする
- 人に合わせて行動することを意識する
不登校支援センターでは、子どもとカウンセラーでこのような話し合いを毎週毎週積み重ねることで、カウンセラーとお子さんとの信頼関係を構築し、一緒の目標を共有してその目標に対してどのように行動すれば良いのか、また実際に行動したあとは、その試したことがどうだったのかを再度共有しています。
もし行動に移せなかったとしても、『行動の結果』が大切なのではなく、その時その瞬間、その場面においてどのように感じたのか、考えたのかが大切なのです。
そこを受け入れてあげることが最も大切であり、行動の結果だけに注目していては子どもとの信頼関係 は築けないと感じています。
最後に
まずは子どもの”今”の状態を不登校支援センターのカウンセラーにお聴かせ頂けませんか?
必ずや、我々と一緒に子どもの”今”を考え、状態と段階を把握することが、現状からの打開に繋がると信じています。
一緒にどうしたらいいのか?を考えさせてください。
【併せてお読みください】
学校行事(体育祭・文化祭・球技大会・合唱コンクール・修学旅行・遠足など)は無理してでも行かせるべき?
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