【再掲載!】出席日数が足らず、残り3日で留年確定の高校生Aくんが進級できた経緯
※この記事は平成28年10月26日に掲載されたものとなります。
こんにちは。不登校支援センター大阪支部の桒原(くわばら)です。
9月もあっという間に過ぎ去り、10月も終わりをむかえようとしています。この時期はご相談に来られるご家族の数も多いのですが、
最近は、特に高校生のお子さまをお持ちの親御さまからのご相談が増えてきているなあ、と感じています。
この時期ですと、お子さんの学校での出席日数が気になっているご家族も多いかもしれません。親御さんとしても、気が気じゃないですよね・・・。
出席日数がギリギリ、高校生Aくんとの出会い
数年前の7月頃でしたでしょうか。
高校生Aくんのカウンセリングを当センターでスタートしました。
Aくんは性格も明るい子で、話も面白く、学校では「いじられキャラ」として、クラスの中心人物の1人だったそうです。これだけ聞くと、なにも問題ないように聞こえますが、実はAくんはいじられキャラにずっと不満だったそうです。
本当は、「いつもみんなとおしゃべりして過ごすのではなく、一人で静かに過ごしていたい」と思っている。でもみんなはAくんのそんな思いは知る由もなく、ずっと話しかけてくる。
Aくんも話しかけられて無視することもできず、一生懸命応えていたそうです。
自分の気持ちを出すよりも相手の気持ちに合わせすぎる、無理をしちゃう子だったんですね。
しかし、限界が来てしまいました。
学校を休むようになり、残りの出席日数はいよいよあと3日。あと3日休んだら留年確定です。留年は絶対したくないけど、学校に行くのもしんどい・・・。そんな状況で夏休みに突入しました。
なんと、カウンセリングでも無理しちゃう。
そんなAくんですが、カウンセリングでも無理をしちゃいます。自分が苦しくて、カウンセリングに来ているのに、私を笑わせようと、とにかく1時間しゃべり倒していました。
私が
- 「今日はこんな話を聴いてみようかな」
- 「今日はこの心理テストをやってみようかな」
と思っていても、私が話し出すことを全く許さないほどのマシンガントークでした。
今思えば、学校の話など、自分が困っていることを聞かれないよう、必死に自分を守っていたのかもしれません。
そんなAくんともカウンセリングを重ねていき、彼の悩みや、悩みをなんとかしたい、という思いも次第に話してくれるようになりました。だいぶ打ち解けてきたな、と感じていました。
そして、2学期からどういう心構えで登校しようか、と作戦会議をカウンセリングでしていました。親御さんも私も、そしてAくんも、2学期からは頑張ろうという気持ちになっていました。
学校へ行く準備万端、いざ2学期!のはずが…
しかし、2学期が始まる直前のカウンセリングでAくんがこんなことを言い出します。
「やっぱり、学校行きたくない。嫌だ。辞める。」
そして、泣き出しました。「なるほど、そう来たか」と私は思いました。「2学期からは頑張る!ってつい最近まで言ってたじゃん」と思わず口に出しそうになりました。
でも、どうでしょう。よくよく考えてみると、Aくんがその気持ちを言うのは、Aくんにとってとても勇気のいることだったと思いませんか。
私も勇気のいることでしたが、Aくんの「学校に行きたくない気持ち」を聴くことにしました。嫌なことに対して、特にアドバイスもせず、嫌なんだという気持ちをひたすらに受け止めていきました。一通り話し終えたあと、Aくんもスッとしたのか、泣き止み、落ち着いた表情に戻っていました。
そして、2学期が始まり、Aくんは覚悟を決めて学校に通い出します。
残り3日しか休めない状況の中、なんとか通い、進級を決めました。(途中、Aくんが風邪を引き、親御さんともハラハラドキドキしましたが。。。)
あのとき、私がAくんに対して何か魔法の言葉を言ったわけではありません。
高校生Aくんの心の中でどんな変化が起こったのでしょうか。
学校に登校するということに、何か特別な、普通の人は気づかないような登校の方法があるわけではありません。最後は、今日行くか、行かないか、それを子どもが自ら選ぶだけです。
その狭間で、悩んでいたAくんにとって、その悩み、苦しみを理解してもらえたということ、理解してくれる人がいるということが、行くことを選ぶ勇気、あと押しになったのかもしれません。
不登校支援センターでは、不登校専門のカウンセラーがお話を伺っております。初回無料面談にまずは親御さんだけでお越しいただき、話を聞かせていただければと思います。