子どもが自主性をもって動くために必要な3つのポイントとは
こんにちは。仙台支部の上原です。
そろそろ進路希望などの話題も増え、先のことに頭を悩ませる時期になってきましたね。
現在の高校生の進路とは?
今現在高校生の子どもがいる親御さんや、現役の高校生の子どもは、大学進学を視野に入れて行動している人が多いと思います。文部科学省の学校基本調査によると2016年の大学進学率は男女合計で52%だそうです。全体の半数が大学へ進学しているということですね。これに短期大学や専門学校などを加えると進学率は全体の7,8割くらいになるようです。
多くの方が将来のために進学を検討されていると思いますが、実は子どもたち自身は
- 「なんとなく進学する」
- 「周りが進学だから自分も進学する」
という子どもも意外と多くいます。そういった子どもが進学先でどのように生活するのかは想像しやすいですね。目的意識がなく進学してもあまり効果的に学習は出来ないでしょう。
不登校支援センターで私が受け持った子どもの多くは復学する際にある程度の目的を持っています。それは不登校支援センターの目的が「自立できる人間になる」という部分を強く意識しているからです。
学校に行けばそれで終わりというわけではないですよね。むしろその先の人生のために学校という場所があるのです。しかしそれが中々難しい。
かくいう私も大学へ進学する際は特に目的もなく「なんとなくここが良さそうだ」というだけで入りました。私の場合は幸いにもそれが功を奏してなんとか今日まで無事に生活できておりますが、当時を思うともっと真剣に取り組めば良かったと思うことが多々あります。
不登校支援センターに来る子どもの多くは、そんな先のことをイメージする前に現状で立ち止まっていることが多いです。過去に縛られて動けなくなっている子も非常に多いですね。
ではその子どもたちが未来を見据えて動き出すためには何が必要なのでしょうか?
不登校状態から、子どもが自主的に動けるようになるために
ここで以前私が担当した中学生A君のお話を紹介します。
A君は当時中学2年生で1年生の頃から不登校気味でした。クラス内の友人トラブルをきっかけに徐々に登校日数が減り、2年生の6月からまったく登校しなくなってしまいました。
A君は親御さんに
- 「もうどうやっても無理」
- 「学校に行けというなら死ぬしかない」
という発言を繰り返しており、病院やスクールカウンセラーと話すことなども拒否して、家で、一日中ゲームと動画サイトを見ている生活をしていました。
しかしそんなA君は今、大学に進学するために自分で学費を稼ぎながら高校へ通っています。
親御さんもA君のその変化に驚いておられましたが、自分で率先して奨学金の制度を調べ、先生に相談しながら申請を行ったりと、自主的に行動している姿を見てとても安心できるようになったと話して下さいました。
彼はなぜこんなにも変化したのでしょうか?もちろん彼だけが特別なことをしてそうなったわけではありません。いくつかの条件が整えば、子どもたちは自主的に動くことが出来るようになるのです。
子どもが自主的に動くための3つのポイント
様々なケースがあり、もちろん個々の事情によって違いはあります。それを前提としてですが、押えておくべき3つのポイントがあります。それは・・・
- 自分の目的
- 自分が出来ることの把握
- 出来そうだという期待感
です。
人間は何かしたいと感じたときに、自分の現在の状態を考えて、出来そうかどうか判断します。反対に言うと、この3つが抑えられていれば自主的に動くことが多いのです。
先ほどのA君の例でいいますと、
- ニートにはなりたくない(目的)
- 学校へ行くことは今は出来ない(自己把握)
- でも行く為の訓練からならやれそうだ(期待感)
この辺りからスタートしていきました。しかしカウンセリングを進めていく中でA君自身で出来ることも増えてきます。
学校へ通い出せた時にA君は、再度3つのポイントを見直して
- 専門職になってみたい(目的)
- 学校へ行きながらアルバイトは出来る(自己把握)
- 週4日勤務でお金をためれば奨学金と合わせて大学にいけそうだ(期待感)
このように目的を修正して再度行動を考えていきました。
実際はもっと細かく目標設定をしたり、様々なアプローチをしているのですが、長くなりすぎるので割愛します。
3つのポイントを1人で考え、1人で実行することは難しい
A君は現在自主的に動いているのですが、これは1人で考えていても実行することが難しいです。私も何か目標設定をするときは信頼できる人に相談しながら決めることが多いです。決める時に話すことで、自分の中での整理が進み納得がしやすいという効果があるからです。
ここで「自分だけで何とかしなくては・・・!」と強く思ってしまうと、動けないまま終わってしまうことが多いです。
これは子ども本人だけでなく、サポートする周囲の方々にも当てはまりますね。
- どのように支えていけばよいのか
- なんのためにそれをするのか
1人で考えていても躓いてしまうことも多くあると思います。
不登校は子どもの特性に合ったアプローチをしていくことが改善に繋がります。
子どもの特性に合ったアプローチをするために
子どもの特性を把握して、子どもが自主的に動けるよう促していきたいですね。どうしたらよいのか悩まれることがあれば、一度ご相談ください。
不登校支援センターのカウンセラーがお力になれると思います。
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