心理検査を行う理由って何?
こんにちは。不登校支援センターです。
こちらは過去記事となります。皆様の日々のかかわりのご参考になれば幸いです。
学生時代に「ゲーム」(マイケル・ダグラス主演)という映画を観たことがあります。私にとっては強く印象に残っているのですが、皆さんはご覧になったことはありますか。
覚えている範囲ですが、少しあらすじを書きますね。
主人公が48歳の誕生日に、弟からある会社の招待状を受け取ります。「ゲーム」への招待状で、「人生が一変するような素晴らしい体験ができる」とだけ告げられ、弟やそのゲームを知る周囲もそれ以上に多くは語らない。主人公は、半信半疑のままゲームに参加し、さまざまな体験が展開していくというものです。主人公は、その体験を通じて深い気づきを得たり、人生を振り返ることができる。
主人公がゲームに参加する前に、精密な身体検査、さまざまな心理テストを行うシーンが出てきます。あとあと考えると、そのゲームを提供する会社が、主人公に対して、気づきを与えたり、振り返る機会を提供するために必要な、現状把握だったのでしょう。
前置きはこのくらいにして・・・
不登校支援センターでは、カウンセリングを進めていく過程で、心理検査の実施もおこなっております。今回はその、心理検査についてお話したいと思います。
心理検査を行う理由は・・・
まず、よくカウンセリングの場で親御さんから聴くケースを紹介します。
父:「子どもがダラダラしていて、怠惰にしか見えない。厳しく躾けないと、もっともっと弱い人間に育つのではないか。勇気を出して障害を乗り越える経験を子どもにさせてやる為にも、強く背中を押すべきではないか。」
母:「学校に行けなくなるくらい、深く傷つき、思い悩んでいるのではないか。『見守りましょう。寄り添いましょう。』と本にも書いてあったし、子ども自身が動ける状態になるのを待つべきではないか。」
どちらも正解のように思いますね。どちらがより子どもの状態に適切なのか、判断は難しいものです。ですから、いま現在の子どもの状態をできるだけ正しく把握するために、心理検査を行うのです。
心理検査を活用するメリットとは?
- 見えない心の状態を、可視化することができる。
- 数値化された客観的な情報として、扱うことができる。
- 自分自身を知ることで、ストレスの軽減をはかれる。
そもそも混沌としていますし、ましてや見えない心の状態を把握するのは、難しいものです。また見えないものですから断定をするのも難しいでしょう。
心理検査は、さまざまな切り口(例えば、批判性、養育性、合理性、自然性、適応性など)から、自分自身に対して質問されることによって、それぞれの得点が出てきます。(得点によって良い悪いはありません。)その得点をグラフ化し、その波形を読むことで、どんな物事の受けとめ方をしているのか、どんな価値観をもっているのかを、目で見て知ることができます。
同じ学年の子ども達を分母として相対的にみることもできますし、「だいたい」とか「なんとなく」ではなく、具体的で客観的な数値として捉えることが可能です。また、知らない(自覚していない)自分自身を知ることで、ストレスが軽減されたり、他人への理解が進むことなどのメリットもあります。
心理検査の信憑性をあげるために必要なこと
心理検査の信憑性をあげるためには必要なことは
- 信頼関係を築くこと
- 心理バッテリーを組むこと
- ヒアリングを行うこと
です。
「心理検査で子どもがウソをついたら、どうなりますか?」
という質問を親御さんから受けますが、もちろんデタラメな結果が生まれるでしょう。確かに起こりうることだと思います。実際の現場でも、ウソをつくという悪意のあるものは少ないように感じますが、自分をさらけ出すことに抵抗感を持つ子ども、実際よりも大きく見せようとする子どもが多いように感じます。ですから、まずは子どもとカウンセラーの間で信頼関係を築くことを大事にしています。
それから、複数の心理検査をかけ合わせることで、多角的に心の状態を診ることができますし、信憑性があがります。(これを心理バッテリーを組む、といいます)
最後に、点数化された結果を伝えるだけではなく、質問に対する回答が、「なぜそのように答えたのか。どんな状況をイメージしていたのか。」をカウンセラーが聴いていくことによって、その子どもがどんな考え方の癖や、感じ方をしているのかを深く知ることができます。(つけ加えると、TVや雑誌で見かける占いのような簡易的な心理テストを用いるわけではありません。さまざまな臨床をかさねて信憑性が高いとされる本格的な心理検査を活用しています。)
見えない心の状態を、結果だけで断定しきれるものではないのですが、こうやって信憑性を上げることによって、子どもの状態に見当をつけることは可能となります。
最後に
このように、子どもがいま現在どのような状態であるかを知ることにより、親御さんは、どんなサポートが子どもにとって適切なのかを一緒に考えることができます。(わたしが影響を受けた映画のように劇的なものではないかもしれませんが・・・)
子どもに今後、どんな体験をさせてやることが成長に繋がるのか、その事前準備のツールとして、心理検査は活用できるのです。
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