「不登校を克服したい!」と思う子どもがぶつかる壁とは
こんにちは。不登校支援センター仙台支部の上原です。
「不登校を克服したい!」
子ども自身がそう望むようになっても、うまくいかないことはあります。そもそも子ども自身が不登校を克服したいと望むようになるまでにもハードルはありますが、今回はいざ学校に行こうと子どもが決断してからのお話をしようと思います。
「不登校を克服したい!」と思った時にぶつかる壁は、「継続すること」
短期長期に限らず、不登校状態だった子どもが学校に行こうと思って動こうとすると、まず間違いなくぶつかる壁があります。それが「継続すること」です。
「不登校を克服したい!」と思い立った最初の1日、1週間、1か月・・・。子どもによって期間はまちまちでしょうが、続けて学校に通い続けることに子どもは苦痛を感じるようになります。なぜならば、子どもは「休んでいる生活」を経験しているからです。
不登校となって、学校を欠席しているときは
- 思い悩んだり
- 「このままじゃまずい」と危機感を感じたり
- 上手くいかない現状に苛立ったり
- 気持ちが不安定になったり
子どもにとって色々と辛い状況になります。しかし「学校を休んでいる」ということに変わりはありません。そして人間は毎日1日中同じことで悩み続けられるほど、頭を働かせられません。辛いことは忘れるように防衛本能として備わっています。目を向けると傷つくと分かっていることには、目を背けるように本能が指示を出すんです。これは、自分を守るためです。しかし、弊害が出てしまうんです。
自分を守るための防衛本能。その弊害は?
簡単に言うと、負けてしまうんです。
- 問題は解決していないけど、自分ひとりで考えても中々解決できない。
- 親に相談してもうまくいかない。
そんなことが続くことによって子どもは、そもそも「考えたくない」「考えない」という状態になります。そうして問題から目をそらす生活が出来るようになると「楽になる」んですよね。
もちろん傷ついた子どもの心を癒すために、そういった時間が必要な場合もあります。しかしその時間に慣れてしまうと、子どもは動きにくくなる。そして動こうと思った時に最初に挙げた壁となってしまうんです。
人間は楽になるほうが好きです。誰だって好き好んで辛い目に合いたいなんて思わないですよね?
「楽がいい」と思うのは本能です。でも目先の楽を取ると、先でもっと辛くなるのが分かっているから、毎日頑張っているんですよね。辛いからと会社を休んでいたら首になってしまうかもしれないですし、面倒だからとゴミ捨てをサボっていれば家に虫が湧くかもしれない。ご飯だって作るのが面倒だからと外食ばかりだと家計に響いちゃいます。
子ども達は学校を休んでどうなるでしょうか?
学校の成績は悪くなって、勉強についていけなくなるでしょう。クラスメイトとは距離が開いていき、関わるのが難しくなっていくかもしれません。体力が落ちて行動してもすぐに疲れるようになってしまうこともあるでしょう。
でも、それで生活が出来なくなる、ということはほとんどないです。
彼らには保護者がいて、ご飯は作ってくれるし、住む家もある。お小遣いも貰えて、ある程度好きに買い物もできるでしょう。昼間家にいる時間は、親御さんが仕事で自分1人になることも多いです。悩み続けることが出来ないので、子どもは気持ちを楽にするためにゲームをするかもしれません。インターネットでいろいろな動画を見たり、ゴロゴロと昼寝をして過ごすかもしれません。これは物理的に「楽」なことです。
不登校を解決しようと思った時に、すぐに学校に登校させようと思わない方が良い
将来への不安や焦りなどから「学校には行かなくては!」と思う子どもも多いです。ですが、学校に行こうとした時、また学校に行き始めた時、その行動が「継続できない」という壁にぶつかります。その壁の1つが、この「楽な生活の経験」なんです。
学校に行くのは労力がかかりますし、基本的には面倒なことでしょう。今楽な生活が出来ているのに、何故わざわざ苦労をしなければならないのか。その壁を壊して、継続して通い続けられるようになるには、理屈ではなく、子ども自身がそのことに実感を持つことが必要になってくるんです。
子ども自身が本当にそれを分かって動いているかどうか。誰かからしつこく言われたので仕方なく動く、では続きません。子ども自身でそれが必要だと、きちんと分かって動くから続けることが出来るんです。
不登校を解決しようと思った時に、すぐに学校へ戻そう、とは思わないほうがいいです。なぜならば、問題があって子どもはその状態になっているわけですから、それが解消しないうちになんとか学校に戻しても、不登校を繰り返したり、より状態が悪化したりと、意味がないからです。
子どもが超えられない壁を一緒に見つけて壊していく。それから学校へ戻る。
というのが一番良いですね。
- 学校へ行ったけど、少ししたらまた休むようになってしまった。
- なんとか説得して行くようになったけど、またしばらくしたら休みだした。
そんなことを繰り返すうちに、何を言っても動かないようになってしまった。そんな例を何度も見ています。
繰り返していくとどんどん根本の解決が難しくなります。子ども自身が「もういいや」と諦めてしまうことも多いです。何度学校に戻ろうと努力してもうまくいかなかったら、諦めてしまうのも分かります。子ども達が自ら通い続けられるように、そのやり方を知ってほしいと思っています。
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