【事例】親でなくカウンセラーが介入したことによって自分らしさを取り戻した高校1年生A子さん①
こんにちは。不登校支援センター横浜支部カウンセラーの本沢です。
さてゴールデンウイークもあっという間に終わり、はやくも1月が経とうとしておりますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
夏休みまで後ちょっと!・・・というには、まだ時間があるこの時期。6月は息切れする子どもが多いんです。
6月に息切れする子どもが多い理由
5月に定期試験があり、そこから夏休みに入るまでは通常授業が続く学校も多いです。それが「当たり前」になって過ごせる子は、自分なりに一息つく時間を作っている様に感じます。自分がパンクする前に息抜きが出来るので、自分にとって楽なサイクルが作りやすい様です。
しかし、上手く自分なりに一息つけない子どもは、息切れしてしまいます。
例えば・・・「1週間」で考えてみましょう。
週の始めの月曜日に
- また1週間が始まってしまった。
- あと5日(ないし6日)頑張らないといけない
- あと5日(ないし6日)乗り越えないと…
と言った様にネガティブに捉えてしまったとします。これ、大人でもしんどいと感じませんか?
今、私が担当している子どもの中にも、木曜日や金曜日に学校を休んでしまう子がいます。前半戦に頑張って元気を使い切ってしまうのかも知れないし、1つ1つ全力投球なのかも知れません。「やれるとこまでやって息切れしたら休む」のも1つの選択肢ですが、「息切れしない様に自分なりに調整してみる」ことも身に付けていきたいスキルではないでしょうか。
息切れしない様に自分なりに調整するスキルを身に付けるのに、カウンセラー(第三者)が介入した事で上手くいったケースもたくさんあります。今回はその中の1人、高校生A子さんの事例をお伝えしようと思います。
6月、初めて不登校支援センターへ来た高校生のA子さん
高校生のA子さんがカウンセリングのためにセンターへ来たのも6月でした。ゴールデンウィーク明けに1週間登校した後、「疲れた」と言って登校拒否を訴えたそうです。その後、学校の先生が家に来てA子さんと話をするといったことはありましたが、登校は出来ずにいる状態のため、親御さんが不登校支援センターへ面談に来られました。
2回目のカウンセリングではA子さんもセンターへカウンセリングに来てくれて、色々話をしてくれました。
学校に行かなくなったきっかけは、クラスで委員を決める時のことだったそうです。誰も自分から手を挙げないので、普段は立候補するタイプではないが、手を挙げたそうです。そのこと自体は、新たな事にチャレンジしたというポジティブな捉え方も出来ます。・・・・が、A子さんにとってのストレスは、その後にありました。
「クラスが冷めている」
A子さんは、クラスのことを私にそんな風に表現していました。クラスの雰囲気が悪い。私は馴染めない。と感じたそうです。
- 誰も立候補しないから自分が手を挙げたのに・・・
- クラスメイトに自分から積極的に話しかけているのに・・・
自分と周りの子との間に違和感を大きく感じていました。
これまでA子さんは、周りに対して何かしてあげる事で自分の居場所を作ってきたそうです。感謝をされたり、認められる事で自分自身に価値を感じ、それがAさんの自信に繋がっていました。しかし、今までのそのやり方が新しい高校では通用しなかった様です。
また家庭でもA子さんは周りに対して何かしてあげることで自分の居場所を作っていました。
周りに対して何かしてあげる事で自分の居場所を作ってきたA子さんの家庭での役割は?
A子さんのお父さんとお母さんはA子さんが小学校高学年になる頃から仲が良く無く、ケンカはしないもののお互いにコミュニケーションを取る事が少なかったそうです。
ただ、A子さんが両親の間に入ると、A子さんを通じてお互い会話をするのです。
そのため、A子さんは通訳の様にお父さんとお母さんの架け橋となってコミュニケーションを取っていたそうです。
A子さんも、両親が少しずつ仲良くなって欲しいと思って架け橋となることを担っていたそうですが、両親の仲は改善せず、A子さんが中3の頃にはさらに両親の仲が悪くなり、ほとんど口をきかなくなったそうです。
私が間に入って会話してあげてるのに・・・
家でも学校と同じ様な雰囲気をA子さんは味わいます。これでは家が「息抜きの場」どころか、「自分には居場所がない」と感じてもおかしくないですよね。
「人に喜ばれない」→「役に立ててない」→「自分には価値がない」→「価値がないから何をやっても意味がない」
そんな風にA子さんは感じてしまっていました。
親子は、学校と違って「行かなければ会わないで済む」という対処が出来ません。まだ自活できる力は無いので、毎日顔を合わせるし一緒に共同生活もしていかなくてはなりません。しかし、両親と顔を合わせれば合わせるほど、コミュニケーションを取れば取るほど、A子さんの中の「親」の印象は、不信感でいっぱいになっていきます。
無理な親御さんからのアプローチをせず、カウンセラーが介入した方がよいときもある。
この状態だと、両親に対して、
- 将来の事どうするか
- 困った時相談してみようか
- 何気ない話をしてみようか
という気持ちにはなれないですよね。
そんな時は、無理に親御さんからアプローチを重ねるよりも、第三者(カウンセラー)を介入させる方がが有効かも知れません。出来るだけ、子どもの中の「親御さん像」が凝り固まる前の方が良いです。
親から子どもへの伝え方、そして子ども自身の捉え方、価値観、他にも色々な要素があって、ただ「ネガティブに感じてしまっただけ」だと子どもが理解出来れば、子どもの不信感は減らす事が出来ます。
「何を言われたか」ではなく、「誰に言われたか」が大事なのです。
どうやってカウンセリングを進めていったのか〜A子さんのその後〜
A子さんは、専門学校に行き、美容師になりたいという願望を持っていました。今は念願叶って、学校に通い技術を学んでいます。そうなるまでに、親御さんからA子さんへ接し方・声の掛け方をカウンセラーである私と一緒に考えながら、実践していきました。
具体的な内容は次回お伝えしますね。
※【事例】親でなくカウンセラーが介入したことによって自分らしさを取り戻した高校1年生A子さん②
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