不登校解決現場レポート

【説教】【叱る】【怒る】の違いって何?「学校に行きなさい」は子どもに伝わらない!?

こんにちは。不登校支援センター仙台支部の上原です。

皆さん、親に怒られた経験ってありますか?
「一度も怒られたことがない」という人は、ほぼいないのではないでしょうか。怒られたなーってことは覚えていても、何を怒られたのか記憶に残らないことがあります。怒っている方も、「この子話を聞いてるかしら?」なんて思ったりしてます。

そもそも…【説教】【叱る】【怒る】の違いって何?

【怒る】とは?

自分の感情を出す行為

「怒っちゃダメ」と良く言われるのは、自分の感情のはけ口にしちゃ駄目よ、ってことです。イライラしたり腹が立ったりする感情を相手にぶつける。それが良い結果を生まないのは想像しやすいと思います。

 【叱る】とは?

相手に物事を教示する行為

叱り方も色々あるかと思います。例えば過去のことは言わず、今のことだけを叱る、とか。目の前のことだけを叱る、とか。行動に限定して叱る、とか。この辺はまた別の話なので、機会があったら書いてみます。

【説教】とは?

スキルや知識が必要とされる専門技能

言われたことって頭に残らないことが多いです。多少憶えていても、まったく理解できていない。何故それを言われたのか、とか。自分にとってそれがなぜ必要なのか、とか。頭にしみこんでいない状態ですね。

(補足)
これはすごく単純なことなのですが、人間は自分が欲しくないものをもらっても、捨ててしまうんです。真夏の日差しが強くて暑い日に、街中で熱々のホットコーヒーを配っていても貰いませんよね。ホットコーヒーにどれだけ価値があっても、「今はいらない」ってなります。

言葉や感情も自分が「必要ない」と思っている時は響かない

これは言葉や感情も同じです。自分が必要ないなと思っているときに言われても、鬱陶しいだけになってしまうんです。

例えば・・・

疲れている人に、善意で「疲れただろうし、お風呂に入ったら?」と言ったとします。

確かに、お風呂に入れば疲労が取れやすいのも事実です。でも彼は「そんなことより早く横になって寝たい」と思っていました。その彼に対して「お風呂に入って湯船に浸かるとこういう効果があってね~」なんて、お風呂に入ることで疲労回復の効果がある、ということを一生懸命伝えても、「そんなことより早く寝たいんだよ」となり、話なんて頭に入りません。説教が頭に入らない、というのはこういうことですね。

聞きたくもない話なので適当にうなずいていると、伝えている方も「こんなに必死にあなた為に言っているのにそんな適当な態度!」と、イライラします。

そうすると説教」「怒る」変わっていきます。

聞いている方としては「我慢して話を聞いていたのに、急にキレてくるなんて!」と腹が立って「うるせぇ!」と大きな声を出してしまいます。よくあることかもしれませんね。

こうなるとお互いに感情のぶつけあいでしかないので、まともな話なんて当然できません。でも人間って意外と引き際が分からなくなっちゃうんです。何とかお風呂に入れようと説得を続けたり、「絶対に今日は風呂になんて入るか!」と頑なな態度を取ったり、どちらも得をしない状態になったりしますね。

これ、

  • 「学校行きなさい」
  • 「学校に行ったほうがいいよ」

というのと似てませんか?

子どもが求めていない時には、何をしても伝わらない

子どもが求めていない時に、いくら「学校行きなさい」「学校に行ったほうがいいよ」と伝えても無駄です。反対に本人の気持ちがそちらに向いている時なら、すんなり聞いてくれます。直接的に「学校に行け」と子どもに言うことは、伝わらないことがほとんどです。「行ったほうがいいよ」という声掛けにも「そんなことは分かっている」の返答でおしまいです。

でも同じ言葉でも、子どもの状態によって、「学校行けよ」→「そうだよな、行かないとな」とすんなり聞いてくれます。先ほどのお風呂の話だって、子どもが「疲れたしさっぱりしたいな」と思っていたら、親の「お風呂入ったら?」の言葉に素直に従ったでしょう。

やるべきことは・・・

直接子どもの行動をコントロールしようとすることではなくて、どうやって本人をその気にさせるか?、ということです。子どもを学校へ行かせることにエネルギーを使うよりも、どうやったらこの子の興味が向くかな?という方にエネルギーを使った方が復学までの道のりが短くなります。子ども自身が納得さえすれば、何も言わなくても勝手に行動してくれます。そういう時ってびっくりするほど早く動いたりします。

実際に私が担当したカウンセリング事例を紹介します

子どもが「この学校だけはもう無理。絶対嫌だ」と言っていたのですが、親御さんとしては今の学校へ子どもをなんとか登校させたく、強引に今の学校に戻そうとしたことにより、子どもが意固地になってしまったケースがありました。

もっと前の段階で相談に来てくださっていたら、今の学校へ子どもは登校していたかもしれません。この状態で、今の学校に復学することは、かなりの時間がかかります。

でも、子ども自身は本当は学校に行きたかったんですよね。親の強引な進めや、そもそもの原因などもあって「別の場所でなら通いたい」と。

しかし、親も先生もそれを許してくれなかったようです。だから子供自身は、もう学校には絶対に行かない!という感じでした。

子どもを学校に行かせたかった理由

  • 子どもが将来苦労しないため
  • (子どもが何かやりたいことが出来たときのために)可能性を狭めないため

そういう思いがあるからじゃないかな?と私は思います。

でも、親の考えとは別に子どもからすると・・・

  • 親が世間体を気にして行かせようとしている・・・
  • 家に俺がいてほしくなくて行かせようとしている・・・
  • 働かせて老後の面倒を見させようとしている・・・ 等

そんな風に捉えてしまうことがあります。

親御さんと子ども、同じ方向をみているのに対立してしまうのは何故?

親御さんの想い

  • 子どもの人生を幸せなものにしたい。
  • 別に子どもを苦しめたいわけじゃない。

子どもの想い

  • 自分の人生を幸せなものにしたい。
  • 別に親に迷惑をかけたいわけじゃない。

親も子供も同じ方向を見ているはずなのに、なぜか対立しちゃっています。すごく勿体ない話ですよね。

関係は、1度こじれてしまうと、当事者だけで解決するのはなかなか難しく、長い時間もかかるでしょう。私は親御さんとお子さんの両方とお話をして、この辺りのゆがみを取っていくことにしました。お互いの認識の齟齬を埋めていったんですね。

お互いの認識の齟齬を埋めると・・・

お互いの認識の齟齬を埋めることで、親御さんの子どもに対する感情が変化しました。その結果、お子さんも登校に向けての行動が出来るようになりました。

この事例の場合は、転学、という形にはなりましたが、今は復学し、毎日元気に学校に通っています。対立してしまっていた親子関係は、まだ若干わだかまりがありますが、一時期の荒れていた状況とは全く違い、家族間での会話も以前より出来るようになりました。コミュニケーションが増えた事で、家の中も穏やかで楽しい雰囲気になりました。

最後に・・・

良いことも悪いことも連鎖しやすいです。

家の環境が穏やかで楽しい雰囲気になると、学校で嫌なことがあってもめげなくなります。子どもが家の中で自分を回復させて、また外に行けるようになるケースです。以前は家でも外でも攻撃を受けていたような感じでした。だから休む暇もなくどんどん荒れていくしかなかったんですね。

  • 子ども自身が本当に求めているものは何か
  • どうすれば子どもが気持ちを向けてくれるのか

それを意識すると、【説教】も【叱る】も、【怒る】でさえも、子どもに伝わることが多いです。

子どものために伝える言葉。せっかくならば、子ども本人のプラスになるように伝えたいですね。無料面談について詳しくはクリック

関連ワード: , , , , , , , ,