【事例】「家には自分の居場所が無い」と思い込んでいた高校生2年生A君
こんにちは。不登校支援センター仙台支部の上原です。
本日は、「家には自分の居場所が無い」と思い込んでいた高校2年生のA君の事例を紹介しようと思います。
家に自分の居場所がないと感じていた高校2年生A君
「家族構成は4人家族+1人。自分は1人だけ、家族ではなく他人だ。」と、親御さんに言っていたそうです。
不登校になったきっかけは、勉強についていけなくなってきたことでした。A君は地元の進学校に入学していました。入学してから徐々に勉強についていけなくなってきたことを自分自身で感じていたそうです。親御さんと学校のことで喧嘩をしてから、段々と登校する日が減ってきました。そして、高校1年生の秋ごろから全く登校しなくなってしまったそうです。
全く学校に登校しなくなったことで、親御さんがA君に説得を試みたり、担任の先生から登校を促してもらったり、スクールカウンセラーのカウンセリングを受診したりしたそうです。しかし2年目の新学期を迎えてもA君の状況が変らなかった為、不登校支援センターへ親御さんが来られました。
家に自分の居場所がないと感じていた高校2年生A君に初めて会ったとき・・・
私がA君と最初に会ったとき、A君はとにかく無気力で、「もう何もしたくない」という状態でした。誰とも話をしたくなさそうで、A君の口を開いてもらうまでに少し時間がかかりました。しかし口を開きだしてからは自分から色んなことを話してくれました。
- 親とは顔を合わせたくないし、口を聞きたくない。
- 言ったところでどうせ話なんて聞いてくれない。
- 家に居場所なんてない、もう死んだほうが楽かも。
などと言っていました。
親御さんと顔を合わせないように昼夜逆転の生活をしており、食事も1日1食。全く食べない日もあったそうです。1日の大半をベッドの上で過ごし、スマホでゲームをすることくらいしか行動しなくなっていました。
家に自分の居場所がないと感じていた高校2年生A君へのアプローチ方法
A君対してはまず心のケアを優先し、復学のアプローチはその後としました。
A君の好きなものや興味のあるものの話をしながら、徐々に日常生活を普通に送れるように促しました。A君自身、本当は誰かと話したいと思っていたようで、私と打ち解けてからはカウンセリングでは元気に話をしてくれるようになりました。しかし親御さんとは中々会話が出来ず、自分の部屋にバリケードを作って閉じこもるようなこともありました。
彼のカウンセリングと同時に、親御さんへA君への接し方もアドバイスし、それをご自宅でも実行してもらいました。
- どのように声をかけるべきか
- 食事の時はよんだほうがいいのか
- お風呂が出来たと声をかけても降りてこない時はどうすればいいか
些細な日常のことから始めていきました。
ご家庭で、A君への対応方法をアドバイスどおりに1か月ほど継続してもらった頃でしょうか。A君がようやく自分の部屋のドアを開き、父親と顔を向かい合わせて話が出来るようになりました。
「今、Aとどんな話をしたらいいのか」と親御さんが悩まれていたので、その相談を受けながら、親子間で何度かの話合いの場をもちました。
並行して・・・
A君と私で、親御さんへの考えや学校に対する考えを一緒に整理していきました。完全に親御さんと和解するにはまだ時間がかかるかもしれませんが、A君も自分の為と理解して、復学を決意してくれました。A君は現在も親子の関わりも少しずつ改善させながら、登校を続けています。
最後に・・・
親子関係のすれ違いから、子どもが不登校になってしまうことは多いです。親御さんが子どもを思っているその愛情が、正しく伝わらないのは悲しいことですね。それがきちんと伝わることで問題が解決する場合も多くあるのですから。接し方を工夫するだけで、親御さんの気持ちが正しく伝わり、解決することがスムーズになります。
「他の兄弟と同じように接しているのになぜこの子だけが…」
と悩まれる親御さんもいらっしゃいます。しかしそれは親御さんの接し方が間違っている、というわけではありません。兄弟と言っても違う人間。1人に適した接し方が全員に適しているとは限らないのです。
子ども本人をよく見て、その子の今の状態に合った接し方をすれば解決します。画一的な対応ではなく、状況にあった対応が出来るといいですね。
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