あなたの家に子どもの精神的な「安全基地(安心できる場所)」はありますか?
こんにちは。不登校支援センター仙台支部の上原です。
月が変わり、新学期の始まった人が大半ではないでしょうか。
休みが終わって学校が始まる。それが嫌な事だというのは、私たち大人でも感じることだと思います。しかし全く動けなくなるほど嫌か?と問われたらどうでしょうか。ほとんどの人がそれほどではない、と答えるでしょう。
ではなぜ不登校という道を選ぶ子どもが増えてしまうのでしょうか?
子どもの活動範囲は・・・
子どもにとっての世界は、大人に比べて狭いです。インターネットの普及によって世界と繋がることは出来るようになりましたが、実体験として得られるものにはそれほど変化がありません。むしろ情報だけ大量に入ってくることで、自分の環境を歪んだ目で見てしまう要因にもなりかねません。
※インターネット自体が悪いもの、というわけではありません。
子ども活動範囲は
- 学校
- 家庭
- 塾
- 友人との交流
がほとんどの子が多いのではないでしょうか。
ボーイスカウトなどに所属したり、地域のコミュニティに参加している子は少数かもしれません。
このうち、学校が占める比率はとても大きいです。
大人にとっての仕事が占める比率より大きいかもしれません。その大きな比率を占める学校で上手くいかないとなると、心の拠り所を別の場所に求めなくてはいけません。
通常はそれが家庭で行われ、動く原動力になったりします。私が以前カウンセリングの担当をしていた子どもの中には、「学校でも家でも上手くいかないけど塾だけが癒しだ」という子もいました。
子どもの精神的な安全基地が不登校を回避することも
子どもにとっての精神的な安全基地。それがどこかにあれば不登校を回避できることが多いです。
しかし現実では、学校で上手くいかず、家庭でも、習い事でもうまくいかない子どもも多いです。そうなると何処にも身をよせるあてがなくなり、不登校という道を選んでしまう子どもも出てきます。
そのため、子どもにとって安心できるコミュニティがあれば不登校を回避出来ることもあります。
- 学校ではうまくいかないけどスイミングスクールが充実しているから大丈夫。
- クラスでは全然だめだけど、部活が充実しているからなんとか平気。
そんな子どもたちだっています。
しかし自分にとっての世界が学校と家の中しかない。そんな子どもは不登校になりやすいとも言えます。生活時間の大半が学校と家庭なのですから、当然とも言えるでしょう。その中で、子ども自身の世界の大きな比率を占める学校で上手くいかない。これは想像以上に子どもにとって大きな負担となります。
子どもだけでなく大人にも必要な精神的な安全基地
子どもだけに起こることではありません。
仕事一辺倒だったお父さんがリストラにあって自殺した、なんてことも実際に起きています。自分の家には居場所がないから職場にずっといる、なんて人もいますよね。こういった方から仕事を取り上げると、大変なことになる場合もあるんですね。
精神的な安全基地はそういったことから身を守るために重要な役割を持っています。
しかしそれは単に『楽が出来る場所』ということではありません。家でだらだら過ごせて、誰にも文句を言われない。これでは安全基地として成立しないことがあります。
ここで求められている安全基地は『安心できる場所』です。そうでなければ職場が安全基地となる人なんて出てきません。
- 自分の存在が認められている。
- 自分の価値というものが感じられる。
- 自分が人の役に立っていると感じられる。
- 自分が愛されている実感を持てる。
そんな場所が安全基地として成り立ちます。
休み明けに子どもが不登校になってしまった・・・
- 休み明けに子どもが不登校になってしまった。
- 通っていたのに行き渋りが始まってしまった。
と悩んでいらっしゃる親御さんも多いかもしれません。
しかし、ここで焦ってなんとかしようと子どもにプレッシャーをかけ過ぎてしまうと、家庭が子どもにとって安心できる場所ではなくなってしまいます。
学校に行かないことが良くないとされるのは「何故なのか」ということも含めて、子どもに伝える必要があります。しかし、それによって子どもが『自分を否定された』と思ってしまわないように気を付ける必要もあるのです。
「良くないことはやらないほうがいい」ということは子どもに伝えなければなりません。大切なのはその時に『なぜ』それは良くないことで、やらないほうがいいのか。それを本人に気付いてもらうことです。
決して「学校を休むのは○○だからよくないよ」と言葉で伝えることではありません。大抵の場合、「そんなことは分かってるよ!」で終わってしまいます。
子ども自身が、問題に向き合って考えられるようにするということ
学校で上手くいかず、家庭でも、習い事でもうまくいかない、そんな子どもが、その自身の問題に向き合って考えられるようにするために、家が心の安全基地であってほしいのです。
甘やかせ、ということではありません。駄目なものは駄目と、はっきり言う必要もあります。子どもの自我を否定しなければ、厳しいことを言っても問題ありません。
こじれるのは言う側の主観や感情が過分に入ってしまった時や、言われる側の気持ちを考慮していない時だけです。
家庭の役割を満たすために
子どもが自分の力で動けらるようにする為に、家庭の役割を満たせると良いですね。
難しく感じるかもしれませんが、慣れてしまえば「こんなに楽だったのか」と感じるかもしれません。実際過去に私が担当したケースでも親御さんが「楽な気持ちになれた」と言われる方が多かったです。
気負いすぎず、自分の役割をしっかり果たす。それだけで不登校解決に繋がるケースもあります。
子どもの安全基地が家庭の中にありますか?
自分のところはどうなっているかな?と、改めて見て頂くと良いかもしれませんね。
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